内容説明
花はさくらよ戦闘機乗りは―爆音も高く、山本五十六搭乗機護衛の任についた六機の零戦は、遂に大任を果たしえず、ひそかにその重責を負い、南溟の空に消えていく。山本長官の死とともに訪れた護衛戦闘機の悲劇の運命を描く『六機の護衛戦闘機』―ラバウルの若き撃墜王たちの生と死を綴る『非情の空』併載。
目次
六機の護衛戦闘機(運命の序曲;冷たい記憶;苦悶の底で;二つの現場;縛られた心 ほか)
非情の空(終わりなき序章;ある零戦の死;華麗なる空中戦;キド上空の悔恨;太陽からの射弾 ほか)
著者等紹介
高城肇[タカギハジメ]
1928年、千葉県に生まれる。明治学院大学英文科卒業。翻訳に従事後、株式会社潮書房入社。月刊雑誌『丸』編集長を経て同誌主宰。文筆活動に入り、その後、株式会社光人社を創立。日本文芸家協会会員。2010年4月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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零水亭
26
30年位前に一度読みました。昨日ブクオフで見かけました。 結果論ですが、いくら熟練者(「ニッコリ笑へば必ず墜とす」杉田庄一上飛曹は最終個人撃墜70機)揃いでも護衛の六機は少な過ぎだと思います。 ①情報戦での甘さ、②防御軽視(機数の少なさ)、③万が一の危険予測… 2022年嫌な事件が起きました… そろそろ考え方を変えないと…不慮の死を遂げた方々が浮かばれませぬ。要人警護では①は難しいケースでも②③を徹底しないと。C国に無駄なODAを貢いでいたのはホントに愚策。警察官の給料に回すべきだったかと。
ねんこさん
2
山本長官の護衛任務を失敗した六機の零戦パイロット達がその後どの様な道を歩んだのかに焦点を絞り、取材を重ねて描かれたノンフィクション。誰も責任を取ろうとしない組織の理不尽さがにじみ出ている。併催の非情の空はラバウルで戦った台南空のエース達を取り扱ったもので、内容的にはわりとお馴染みのエピソードが中心。2011/12/28
びん
1
護衛機6機というのは、幕僚のずさんな計画なのか、山本五十六長官の計らいなのか・・・。 長官をお守りきれなかったパイロットたちは、以後自責の念に取り憑かれた日々であったことは間違いない。彼らを責める目は無かったとするも、死に場所を与えるような飛行プランは親心だったのかそれとも無言の責めか・・・。戦争は避けなければならないと考えている。しかし、避けられない戦いもあるだろう。ただ、太平洋戦争だけは、本当に命を捧げて戦わなければいけない戦争だったのだろうか。太平洋戦争に関する本を小説を読むたびに疑問符がつく。2018/08/24
連雀
1
これも十数年ぶりに再読。作中に登場する若者たちと同年代だった以前はあまり感じなかったのですが、今の私の歳になって読み返すと、過酷な運命にさらされる若者たちを見つめる作者の切ない想いがようやく理解できて、実に面白く読むことができた。皆、20代の若者だったのですよね・・・2014/04/09
チャゲシン
0
1999年刊行の光人社NF文庫で読む。なんと表紙は生頼さんじゃないですか。また文庫判の後書きにある、大ケガして生死をさ迷った時に夢枕に現れたのはチャゲシンが卒論で扱った豊田穣ですな。さて暗号を解読されているとも知らず不用意に六機だけの零戦をつけて前線の視察に赴いた連合艦隊司令長官山本五五十六は16機のP38に襲撃され戦死。この6機のパイロットのその後の物語が表題。また、所謂ラバウル海軍航空隊の全盛期を描いた『非情の空』零戦の活躍はかなり割り引いて読まなきゃならんですが、感動の力作です2018/02/01