光人社NF文庫
インパール兵隊戦記―歩けない兵は死すべし (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 310p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784769822233
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

「歩けない兵は死すべし」―インパール撤退時、非情きわまりなき命令の下、雨の印緬国境へ投入された兵士たちが辿った苛酷な情況を、行間に怒りをにじませて叙述する感動のノンフィクション。天険に咲くアラカン桜を家郷に届けんと誓った八人の兵もつぎつぎ斃れ、一人生き残った悲しき兵隊が綴る地獄の戦場。

目次

第1章 最悪の戦場へ
第2章 アラカンの桜
第3章 暗雲たなびく
第4章 非情なる任務
第5章 死の退却路
第6章 幽鬼の群れ
第7章 白骨街道悲し

著者等紹介

黒岩正幸[クロイワマサユキ]
大正10年1月、高知県窪川町に生まれる。昭和17年4月応召。同年7月、中支湖北省において、独立輜重兵第二連隊第三中隊に入隊。その後、ニューブリテン島をへて、ビルマに転戦し、19年2月よりインパール作戦に参加。19年12月から終戦まで、断作戦(二期、三期、四期)および克作戦に参加する。21年6月、復員。陸軍兵長。戦後は(株)長太郎(全農に飼料納入)に入社し、55年、副社長で退職する。以後、執筆に従事し、現在にいたる
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感想・レビュー

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ビブリッサ

86
第二次世界大戦中、最も無謀で馬鹿げた作戦と今も揶揄されるインパール作戦。兵站を蔑ろにして只闇雲に大和魂で作戦を成功させろという大本営や作戦本部のクルクルパー共のために、犬死させられた兵隊のことを思えば噛みしめる奥歯が痛くなる。著者の黒岩氏は運よく生還できたが、自決を決意した場面も記してある。その時、母の声が聞こえた本当に2度聞こえたとある。それは真実だと思う。子を戦に送り出したなら、母は命と引換に無事を祈願するだろう。彼の帰りを見ず亡くなった彼女だ。日本に今も蔓延る仲良しこよしの意思決定機関の脆さが怖い。2017/09/02

saga

34
高野秀行著『西南シルクロードは密林に消える』などで「有名なインパール作戦」と書かれていた軍事作戦は、しかし自分の管見からまったく知らないものだった。高野氏の著書に出てくる地名と、本書に出てくるそれは必ずしも同じではないが、ビルマからインドにかけて密林の中を歩く様が目に浮かぶようだった。下士官の従軍記として著された本書は、日誌のように淡々と描かれているが、日本軍の狂気を余すところなく伝えている。日本軍が米の飯に拘るが故に衰弱していったという説が思い出されて辛かった。2015/12/17

TATA

26
戦争のことを胸に刻み、そして祖父のことを思い出す。インパール、僅かの明るさを持って描かれているが、そこはやはり地獄絵図、酸鼻を極める描写が続く。目を背けずただ先人たちを思う。2017/08/18

四色しおり

5
落伍した召集一等兵の教師へ、元教え子である志願上等兵が射殺のために銃を向けて。「未練がましいことをいうな、お前の家には、立派に死んだとオレが伝えてやるから、日本軍人らしく早く死ね」。日本軍人の仕事は死ぬことと軍隊で教えられたのかな?読み通すとこれは正鵠を得ている金言であって心が凍った。人間の持つ社会性という皮を一枚剥いたその下は野蛮であり、環境が整えば簡単にさらけ出されると自覚しなくてはいけない。2019/05/12

ぐちーず

5
インパール作戦中の独立輜重兵第2聯隊での戦記、大半はインパール作戦の退却期間を扱い、凄惨な退却が描かれる。規律はおろか人間性を喪失した退却行は陰鬱なものだ。輸送部隊状況がこうであれば他の重装備の部隊ではさらなる悲劇があったと想像される。2010/07/24

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