内容説明
憧れの大空にはばたき、死と隣合わせの青春の真っただ中を日本軍用機とともに生きた男のロマン―古きよき航空時代から苛烈な大戦期まで、四季折々の銀翼にふれて、滞空時間八百時間のベテランわちさんぺいが、絵筆と健筆をふるった“空の男”のエピソードの数々。ユーモアあふれる話題のイラスト・エッセイ。
目次
あこがれ
初飛行
ワサブロー
下宿
一言ですくわれた
敬礼
腹ペコ
星また星の群れ
寸づまり
はごろも〔ほか〕
著者等紹介
わちさんぺい[ワチサンペイ]
本名・中岡二春。大正15年3月、広島県雙三郡和田村字和知(現・三次市和知町)に生まれる。山梨航空学校をへて、陸軍航空審査部(現・米軍横田基地)の偵察隊に、軍属として所属し、整備審査に参加する。福生にて終戦をむかえる。のちに、児童漫画の世界にはいり、代表作として、『火星ちゃん』『ナガシマくん』『豆パンチ』などがある。かたわら新聞にフィッシング・ルポなどを発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
13
幼少時の夢を叶え、半官半民の軍属として青春の日々を陸軍航空審査部にて機体整備に燃焼させた著者の哀歓取り混ぜた回想録。柔らかな線で描く人物や風景と、流麗な航空機のイラストが印象深い。渡辺洋二氏の「未知の剣」を読み、空の精鋭が集った航空審査部の実態を頭に入れて向き合うとより本書に入り込めると思う。南方で鹵獲した連合軍機の油漏れ一つ起さない綺麗なエンジンとパッキン不良で慢性的な滑油漏れを起こし飛行の度に油でベトベトになる日本軍機との対比の逸話は往時の彼我の絶望的な工業レベルの懸隔を象徴していて悲しい。2015/11/14
mahalojuju
0
戦争に行っている人は、大変なこともあると思うが、ゲーム感覚で楽しんでいたのだろうか?戦争から逃げ惑うほうが、食べ物はない、恐ろしいなどの地獄戦争だったのでは。戦う側の本はたくさんあれど、残された家族のほうの日常生活の本が少ないのは、過酷すぎて思い出したくないからなのだろうか?2022/09/14