内容説明
日本海軍が世界にほこる最高峰の飛行艇「二式大艇」―大戦末期、戦勢挽回の切り札として輿望を担った名戦闘機「紫電改」を生むにいたる“川西航空機”の若き技術者たちが、頭脳と熱意と努力を傾注して挑戦する不屈の開発物語。戦火の空に展開された搭乗員たちの死闘とともに活写する感動のノンフィクション。
目次
第1章 黎明のうたげ
第2章 空飛ぶ巡洋鑑
第3章 大いなる飛翔
第4章 技術者魂の結晶
第5章 大艇出撃す
第6章 戦火の空に
第7章 限りなき挑戦
第8章 制空権なき死闘
第9章 未完の大器
第10章 落日の賦
著者等紹介
碇義朗[イカリヨシロウ]
1925年、鹿児島生まれ、東京都立航空工業学校卒。陸軍航空技術研究所をへて、戦後、横浜工業専門学校(現横浜国立大学)卒。航空、自動車、鉄道などメカニズムと人間のかかわり合いをテーマにドキュメントを発表。航空ジャーナリスト協会会員。横浜ペンクラブ会員。自動車技術会会員。カナダ・カーマン名誉市民。著書多数。現在、神奈川県茅ケ崎市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
3
最近、ふたたび飛行艇についての本を続けて読んでいたのですが面白い本にめぐり合った。「二式大艇」と題されているが、日本の水上飛行機、なかでも特異な飛行艇の開発物語であり、主に技術者の目を通した描写になっている。驚かされるのは、この世界秀逸の飛行艇にせよ、零戦にせよ、その開発者たちがいかに若いかである。(ほとんどが20代、30代)二式大艇にいたる開発の延長にある戦後のPS-1,US-1については城山三郎の「零からの栄光」に詳しいが、この二つの本は期せずして一つの流れを前編、後編にわけたような印象となった。2013/05/16
まいご
1
日本軍の飛行艇の開発・運用史。前半は開発秘話でプロジェクトXばりに楽しい。後半は戦時中の活躍。活躍といっても太平洋戦争なので、無茶な作戦だが優秀な機体のため救われた人がいた的なもので気が滅入る。戦闘機・爆撃機などに比べて地味だが、海洋国日本で有用な飛行艇について知れてよかった。2012/09/05