内容説明
陣屋持ちの譜代小藩ながら、伝統ある学芸に励み、歴史の重みを知る藩が蘇る。風雪に耐える松のようにと、領民を指導した藩主たち。足利学校内の藩校求道館、寺子屋・私塾も数多かった。維新動乱では新政府につき織物業を振興。栃木西南部の中核都市として文教・観光に伝統を生かす。
目次
第1章 足利藩の誕生―幕府直轄領と大名領の繰り返しだった足利。戸田氏の入部で安定した。(大名足利戸田家の成立;基礎固めに尽力した藩主たち)
第2章 充実から激動のなかの足利藩―大坂定番や奏者番に就任した藩主たちの事績。(四代藩主戸田忠言;五代から七代までの藩主;幼君の擁立―八大藩主忠行)
第3章 明治維新を迎えた足利藩―多くの事件に巻き込まれながらも誠を尽くした君臣たち。(出流事件のまっただなかで;戊辰戦争と足利藩;維新後の足利藩;誠心隊よもやま話)
第4章 足利藩の教育と文化―日本最古の学校の町は江戸期も学の誉れが高かった。(伝統と進取の気象;足利藩と蘭学;法楽寺蔵「佛池帖」の世界;残された小さな課題)
著者等紹介
菊池卓[キクチタカシ]
1944年(昭和19)栃木県足利市生まれ。栃木県立高等学校教諭を経て、足利工業大学非常勤講師(共通課程)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てん
14
故郷の歴史は考えてみたらよく知らない。江戸期の故郷について興味があったので読んでみた。著者はなんと高校時代の日本史の教師である。足利藩の藩主、戸田家の当主についてのこと、幕末期に藩としてどのような活動をしたのか、藩の要人や知識人について、藩における学問等。古地図がもう少し多いと初心者としては臨場感を得やすいと思った。2021/04/27
みなみ
4
どこを読んでも山坂谷ばかりの波乱の水戸藩のあとだったので無難そうな藩を選んだら本当に無難で淡々と幕末まで来てしまいました(笑)これはおもしろい、と印象に残ったのは、蘭学者鈴木千里のくだり。もともと米沢藩に仕えていた鈴木千里は名声があがり長州藩に仕えることになり、幕末維新の志士との交流が生まれたのかもしれないという。その鈴木千里が蘭学者追放の憂き目に遭い、かくまわれた先が足利藩。ドラマチックでおもしろい。有名どころに限らず様々な運命があるのだなあとあらためて感じた。ちがうシリーズも読んでみたい。2015/12/14
Ryuji Saito
1
2015年122冊目。現代書館「シリーズ藩物語」の1冊。 このシリーズ、愛読しています。2015/12/02