内容説明
本書はタイの「演歌」の話である。そう聞いただけで、拒絶反応が起こりそうだけれど、「タイの演歌」といわれるルークトゥンやモーラム歌謡は本当に「タイ」を感じさせるものの一つである。ぼくらが知り合えるタイ人(ほとんど下層階級である)が聴いている歌だ。タクシー・サムローの運ちゃんが「ながら」で聴いている。赤バスかグリーンのミニバスに乗れば嫌でも大音響で無理矢理聴かされる。屋台で出会うタイ人が感情をこめて唄っている。好きになった売春婦がしんみり聴いている。田舎に行けば、まずルークトゥンばかりだ。
目次
第1章 ルークトゥン・モーラムを見に行く(バンコクの中の「田舎」;モーラムがバンコクを占拠する―もち米のパワー ほか)
第2章 ハーン・クルアン(踊り子)考
第3章 “ルークトゥン”の世界(ルークトゥン半世紀;ルークトゥンとは何か)
第4章 “ルークトゥン”を読む(カムロン・サムブンナーノン―歌で独裁者と闘った男;“ルークトゥン”の王様スラポン・ソムバットヂャルーン ほか)