内容説明
ナチスドイツがもたらした障害者の極限状態。だが、その基盤である優生思想に、あなたの心は果たして無縁でいられるのだろうか。障害者の著者が告発する、障害者の歴史の最も重要な一面。
目次
序章 ハダマーでのT四計画
第1章 T四計画開始
第2章 T四計画の起源
第3章 T四計画の実施
第4章 子供計画
第5章 アプスベルクのT四計画
第6章 T四計画のつまずき
第7章 T四計画と医者
第8章 T四計画と法律家
第9章 T四計画と教会
第10章 T四計画その後―一九四五年~一九九四年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tellme0112
8
きっかけは、相模原の障害者差別殺人事件。何度も手を止める。自分の頭の中で考える。まるで現実か近未来かを描いたような感覚にクラクラする。ヒトラーの安楽死政策の前に、知識人の優生学宣伝、差別が土台にあったことに驚愕する。知識人の差別偏見tweetは、一つ一つ指摘していかねば!!四章、子供計画。「運命の子トリソミー」http://i.bookmeter.com/b/4093965277 を思い出しながら読み進めた。沖縄の集団自決、米兵の起こす事件、辺野古、高江を思った。これは現在にもつながる話だと怖くなる。2016/09/24
イボンヌ
6
ヒトラーの命もあるが、その後は医者が率先して障害者の安楽死を進めていったとの記述がある。 人の命を自分が左右させる事ができるという、恍惚感があったと。 2022/05/11
塩焼きそば
3
図書館本。 個人的には優れて裕福な人が子供をどんどん産み、社会が成り立てばいいと思っていた。 私は障害者で劣った存在なので子孫は残さないつもりだ。 安楽死も合法化されればいいと考えている。 しかし、この本を読むと障害者であれ社会から役に立たない存在だと他者から判定され死に至らしめるのはただの暴力なんだと痛感させられた。 日本でも障害者への排斥や偏見はあると思うので、こういう命を脅かされること自体がありえない話ではない私は見ている。 2016/10/29
春風
3
著者はポリオで車椅子生活を送る研究者。1930年代のドイツなら殺されていた人物だけに、冷静な筆致の中、ところどころで語り口は熱を帯びる。やや熱を帯びすぎていると思えるところも。2016/09/06
横見鳥
3
ヒトラーがもたらしたのは、退廃だと思う理由の裏づけが一つ。この計画は戦争中にのみ遂行され得るものだ、とヒトラーが語っているらしい箇所があります。微小な悪は巨悪の陰で、何とも説得力のあることです。2009/11/18