出版社内容情報
日本政治の流動化の背景にあるのは、明らかに有権者の世代交代である。トマス・クーンの古典的名著
『科学革命の構造』によれば、天動説から地動説といった科学上のパラダイム転換は、後者による前者
への説得によって行われるのではなく、端的に世代交代によって、すなわち天動説を信じる人が退出し、
地動説に慣れ親しんだ人が成長して確立する。とすれば、今、日本政治もまた世代交代によるパラダイ
ム転換にある。
現在、日本の有権者は団塊の世代と現役世代という「二つの国民」に分岐しており、それぞれに独自の
政治的認知空間、いわば「二つの世界」が生じている。世代間の乖離が深刻さを増す中、著者は、古い
パラダイムへの敬意を持ちながら、それに慣れ親しんでいる人々への説得に労力を割くよりも、いかに
新しいパラダイムの創成を鼓舞し、それを目に見えるようにしていくかが肝要と説く。
少子高齢化やAIの進展といった環境の変化に応じて万人に必要な財やサービスは変化し、それにともな
い政府の公共的役割も変わっていく。本書の後半では、新しい時代に向けた政治の「公共性」を再定義
する作業としての「改革」について考察。「国会改革」「政治改革」「経済改革」「分権改革」それぞ
れの課題を整理し、指針を示す。
【目次】
はじめに
第1章 日本政治における有権者の世代交代
1 政党政治の地殻変動
2 団塊の世代から現役世代へ
3 政党支持をめぐる「二つの有権者」
4 政治にアクセスする媒体の二分化
5 中間団体の衰退と有権者の砂化
6 現役世代と手取り主義
第2章 リベラルよ、目覚めよ、そして醒めてもいろ
1 「リベラル」と護憲の結びつき
2 学術研究におけるリベラリズムの活況
3 「だからリベラルは」論の勃興
4 リベラル懇話会の試み
5 立憲民主党と「リベラル」の変容
6 アイデンティティ政治の歴史と現在
7 「保守化」するリベラル派
8 「リベラル」の再生があるとすれば……
第3章 さまよう「改革」の担い手
1 「改革」の登場と混迷
2 二つの争点軸と政党政治のゆくえ
3 「改革」の担い手は誰か
第4章 来たるべき「改革」と「公共性」の再定義
1 立法府の復権をもたらす国会改革
2 選挙制度と政党助成金の改革
3 市民版規制改革によるイノベーション促進
4 「多極集中」に基づく都市分権
おわりに



