出版社内容情報
飛散したアスベストを吸引することで生じる健康被害について、労災あるいはアスベスト関連疾患に対する一定の救済策が設けられたことにより、すでに「終わった問題」と認識される傾向にある。また、建築物などに使用されたアスベストは除去が進んでいるように思われるが、現在も建築物をはじめとして、社会の至るところに蓄積されたアスベストは「静かなる時限爆弾」として存在し続けている。2006年にアスベストの使用が禁止されるまでに建てられた建築物の老朽化により、今後、アスベスト飛散の危険性がさらに高まる可能性さえある。
一方で、アスベスト関連疾患は潜伏期間が10年~40年あるいは50年ともいわれ、過去のアスベストばく露による健康被害がこれから顕在化するであろうことも確実なのだ。
アスベスト被害の象徴的な事件の一つ、尼崎クボタショックの表面化から2025年で20年の節目の年。アスベスト禍が決して過去の問題ではなく、現在、未来にもつながる問題であることを改めて問い直すことは、大きな意義がある。
これまでに顕在化してきたアスベスト禍を、被害者の声を交えて振り返ると同時に、被害が見えにくい環境ばく露について警鐘を鳴らすとともに、現状の制度では救済されない被害者をなくしていくための方向性を検討、提案することで将来のアスベスト被害を回避するだけでなく、アスベスト禍に苦しんできた被害者の希望としたい。
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