出版社内容情報
普段私たちは、肉を食べること、医薬品を使うこと、動物園に行くことなどについて特に疑問を持たずに生活していますが、そのかげで動物たちがどのような処遇や犠牲を受けているのか、多くの人は知りません。また、人間の社会問題や社会運動に関心がある人たちのあいだですら、動物の問題は軽視・排除されてしまいがちという傾向があります。
そこで、普段はそれぞれ異なるフィールド(①セクシュアル・ハラスメント問題、②日雇い労働者・野宿者支援、③女性の労働や貧困問題)において社会運動を実践しながら、「動物の福祉や権利」にも問題意識を持つ著者の3人が、「動物の福祉や権利」と「社会運動」をテーマにウェブ上で連続座談会を行いました。本書はその書籍化です。
各章では「畜産動物」「動物園」「動物実験」など具体的なテーマを取り上げ、動物権利運動の実践者たちをゲストに招き、動物問題と権利運動についてのゲストによる基本的な解説と、それを受けての対談が行われています。また5章では、動物の福祉や権利への意識から菜食を選択するヴィーガン/ベジタリアンの人々の抱える苦労について、当事者の声が多く紹介されています。
動物をめぐる問題について基本から理解できるだけでなく、マイノリティが差別を受ける人間の諸問題と動物の問題との共通点や、社会運動を実践していくうえでの困難、そして運動の広め方などについて、考えることができる一冊です。
【目次】
はじめに
【第一部 動物という入口】
第1章 なぜわたしたちは動物から考えるのか?
①動物の問題との向き合い方
②動物たちの現状を知る
③動物の問題と人間の問題、どうつながっている?
④異なる運動を実践してきたなかで見えてきたもの
【第二部 動物をめぐる問題と暴力のしくみ】
第2章 畜産動物
①アニマルライツセンターの活動
②アニマルウェルフェア各論
③壁を打ち崩すために
第3章 動物園
①動物園というあり方
②動物にまつわる思い込み
③わたしたちは動物の何を見ているのか?
第4章 動物実験
①そもそも動物実験ってなに?
②動物実験をなくすためには?
③わたしたちにできること
④より深く考えるために
【第三部 動物の運動を広げていくために】
第5章 日本に生きるヴィーガン・ベジタリアンたち
①よくある悩みごと&トラブル
②知られていない苦悩
③偏見や不快な質問への答え方、お悩み相談室
第6章 世界の動物運動から
①アメリカ編
②イギリス編
③カナダ編
④アジア諸国での比較
⑤運動を広めていくには
【終章 連続座談会を終えて】
この座談会の始まりについて
座談会を進めていくなかで変わったこと
「個人でやっているのならよいけど」と社会問題
「ペット」の問題
犬猫と他の動物との格差
動物の問題に疎い文学界
どうやって現実を変えていく?
ナショナリズムと動物虐待
座談会を終えて読者に伝えたいこと
おわりに
おすすめ書籍・映画リスト



