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内容説明
大正版“決定的瞬間”!著名な作家とカメラの衝撃的出会いをきっかけに世間を歩き出した一枚の写真。いかにして写真は日本人の日常に入り込んだか。
目次
序章 一枚の写真
第1章 夏目漱石の肖像
第2章 写真をめぐる闘争
第3章 芥川龍之介の肖像
第4章 乃木希典の肖像
第5章 明治天皇の肖像
終章 もう一枚の写真
著者等紹介
前田潤[マエダジュン]
1969年、東京生まれ。早稲田大学卒業。立教大学にて博士(文学)の学位取得。専攻は日本近代文学。現在、大学、予備校の兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
29
思いがけずいい本だった時の幸せは、何物にも代え難い。新聞に掲載された「秋晴れの上野」という写真が、偶然、漱石一家を映したものだったことから物語は展開する。仕方なく撮影された漱石の肖像写真と、作家のイメージの定着を明確に意図してカメラの前に立つ芥川の対比。殉死の当日に自らの肖像写真を撮らせた乃木希典をパフォーマンスだと批判する芥川と擁護する小林秀雄。そして、徹底的な写真嫌いだった明治天皇と乃木との対照。これは、写真とは何かという芸術論であり、撮影者と被写体との関係を論じるメディア論でもある。とてもいい本だ。2019/11/09
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2
ロランバルト 写真 それは かつて あった 夏目漱石の章の、「「秋晴れの上野」は、その掲示手法と、絵画的な鑑賞を要請する同時代的な写真鑑賞の作法によって、そこに写し出された被写体が何者なのかという読者の疑念が、制度的・無意識的に封じ込まれてしまうような位相に置かれている。」というのは面白い。 本全体だと結構証拠の確認に疑問があるけれど。2024/11/29
つるる
1
雰囲気がある独特な文体が好みでした。 「連日の締め切り、途絶えぬ来客、『近代日本文芸読本』編集作業の後始末、義兄の不審死とその事後処理、義弟の病、不倫の代償、胃腸病、痔疾、神経衰弱、不眠、流行感冒、子供の病弱、家族との衝突、日々大量の服薬、芥川が死に向かって疾走する日々が、痩身病軀の「芥川龍之介」像を準備してゆくことは間違いない」 ここを読んで芥川に比べれば私なんてただの社畜だなと大いに励まされました。 そんな大変な状況でもかっこよくカメラの前に建ち続けた芥川龍之介…ほんとにかっこいいと思う。2019/06/03