出版社内容情報
北海道開拓期に初等教育普及に取組んだ安田貞謹(1850?1911)。「網走図書縦覧所」(後の網走市立図書館)を解説し所長に就任。「ご一新」による希望と閉塞、アイヌへの教育普及と文化奪取の葛藤など、国政によって揺れ動く青年の心情が丁寧に描かれた、著者初のノンフィクションノベル。
沖藤典子[]
著・文・その他
内容説明
明治150年!大凶を吉に返して、網走に北海道初の図書館をつくった先生がいました。激動の江戸、決意の七戸、室蘭・幌別・札幌・網走・比布・函館をめぐり、開拓期に初等教育の普及を目指した男の青春。
目次
第1章 幕末の青春
第2章 新天地で始まった人生
第3章 教育者としての出発
第4章 時代の嵐の中で
第5章 私立育成小学校の創設
第6章 新校舎落成と炎上、廃校
第7章 北のあけぼの
終章 明治の柩は、静かに覆われた
著者等紹介
沖藤典子[オキフジノリコ]
日本文芸家協会会員。1938年北海道生まれ。北海道大学文学部卒。市場調査機関・大学非常勤講師などを経て現職。主要公職歴としては、社会保障審議会・介護給付費分科会委員、神奈川県女性問題協議会会長など。現在はNPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長、『共同参画』市民スタディ21代表。平成十九年度「内閣府・男女共同参画社会づくり功労者表彰」受賞。『介護保険は老いを守るか』(岩波新書)により、平成二十三年度第八回生協総研賞特別賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
34
主人公「貞謹」は、謹厳実直で律儀だが子供には慈しみをもって当たる人。亀の如く地道に信ずる道を歩み続けた人。目立たないが人間性素晴らしく感動しました。幕末から明治の激動の時代に、北へと追いやられた東北の人々のご苦労が偲ばれました。どんな貧しい家の子も平等に学べるという立派な理念を発表した政府でしたが、実際には貧しい家の子は通うことが出来ない現状を憂う貞謹。火災で全てを失いながらも網走に図書館を残せた事が喜ばしい。著者の母方の祖父だったとは驚きました。2019/04/19
のん
1
著者の祖父がモデルのノンフィクション・ノベル。淡々と史実に忠実に語られている部分が多く、小説と思って読むと物足りないかなという印象。(初等教育にあっては)「何よりも子どもを信じて慈しむこと」これは大切ですね。2019/03/04
必殺!パート仕事人
1
北海道の話なので少しはアイヌが出てくるだろうと思ってはいたけれど、ずいぶんと重点が置かれていた。北海道開拓使の業務や黒田長官の働きも、今まで読んだのとは違う見方であり、アイヌに同情的。そもそもこの出版社の立ち位置がそうなのかな。2019/01/03