内容説明
歴史学の素材として「桃太郎」童話を分析するのが本書の目的である。とりわけ、とくに究明しようとした課題は、「モデルと作者」である。「桃太郎」は、特定の時代のある作者が、自分の身近にいた人物をモデルに見立ててつくりあげたある種の神話だと考えられ、その起源を民間伝承の類であるとは考えていない。読めば読むほどに、作者が風流の達人で天才的な頭脳の持主ではないかと考えざるを得なくなるのである。日本の文化や政治思想の象徴とも評すべき「桃太郎」の本源・本質を、ぜひとも突き止めたいという熱望にかられた次第である。
目次
第1章 桃太郎の世界(国民童話「桃太郎」;軍国「桃太郎」 ほか)
第2章 桃と鬼の祭儀神話(「桃」の聖性と呪力;鬼とは何か ほか)
第3章 吉備津宮の鬼退治神話(「桃太郎」の発祥地;吉備津宮について ほか)
第4章 桃太郎のモデル(桃太郎と天皇;「桃太郎」にみられる二つの国家像 ほか)
第5章 桃太郎の作者(作者の条件;細川幽斎の経歴と人物 ほか)
著者等紹介
前田晴人[マエダハルト]
1949年大阪市生まれ。神戸大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、大阪経済法科大学教養部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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