内容説明
なぜ悩み苦しみを心理学的に理解しようとしはじめたのか?心理主義の浸透がひきおこす問題を考える。グローバル化と個人・心理主義化のはざまで、教育・福祉・医療の現状を分析。
目次
第1章 「心理主義」と、その教育への浸透
第2章 社会の心理主義化をどのように捉えるか?―三つの立場
第3章 健康不安の湧出と「癒し」イデオロギー―禁煙言説にみる「悪」と「癒し」の創出過程
第4章 「ファシズム的な社会」と心理学
第5章 いま、なぜ、「発達障害」なのか、WISC‐IIIなのか?
第6章 発達論としてのアイデンティティ論―エリクソン理論を再考する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金こんにゃく
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心理主義が気になったので読んだ。第1章は問題提起が雑だったけど、第2章からは結構スラスラ読めた。こういう論調を見るとき、自分が属している実験系の心理学がほとんど視野に入っていないのには、毎回のように寂しくなるが、「医療化」という面では臨床が社会に対する影響力で勝るのは事実。10年前の本なので、現在の社会情勢とは異なる記述もあったが、大まかには本書の記述内容は現状と変わっていないと思う。でも、ピークは過ぎたように感じる。喫煙の責任が制度や社会構造といった「社会」に求められることが最近は増えてきたので。2019/02/20