目次
1 大学(大学で映像制作を教えるということ;ドキュメンタリーのカリキュラム ほか)
2 実践篇‐企画(最初の企画書―映画の種を自覚させること;取材調査が企画を育てる ほか)
3 実践篇‐撮影(意図を持って撮影するための実習とは?;キャメラを身体化する ほか)
4 実践篇‐インタビュー(インタビューで対話を成立させる;インタビューの技術と作法 ほか)
5 実践篇‐編集(カット表を作って映画の構造を分析してみよう;映画編集者、浦岡敬一さんのこと ほか)
6 作品(ドキュメンタリーの様々なかたち;多様なドキュメンタリー―想田和弘さんの「観察映画」 ほか)
著者等紹介
安岡卓治[ヤスオカタカハル]
1954年生まれ。映画プロデューサー。2011年の東日本大震災以降は、森達也、綿井健陽、松林要樹らと共同監督した『311』(2012/プサン国際映画祭「AND」ファンド受賞/山形国際ドキュメンタリー映画祭2011公式上映)をはじめ、震災関連作品を編集もしくはプロデュース。日本映画大学教授として、若手ドキュメンタリー制作者の育成を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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大泉宗一郎
5
戦時下の人肉事件を追った『ゆきゆきて、神軍』やオウム真理教に密着した『A』など日本を代表するドキュメンタリー映画の撮影に携わり、日本映画大学の講師を務める安岡卓治氏によるドキュメンタリー指南。刻々と変化する現場で臨機応変さを求められ、取材者として入念な学習を求められ、時にはカメラマンとして最上のカットを要求され、表現者としてのセンスを問われる。やはり覚悟した者でさえも困難を極めるジャンルであることを改めて思い知る。本書における指導は厳しく、身につまされるが、同時に意欲を掻き立てられる。襟を正して臨みたい。2024/09/30
Yakmy
2
映像制作の現場はチームで動く、と聞いてはいたけど、強烈なキャラクターの個人が織りなすのだろうと本書を読んでて思った。人を描く、人を見る。ドキュメンタリーを撮影するには、徹底的に見ることなのだと思う。カリキュラムでは、カメラや編集と分かれてはいるみたいだが、徹底的に考え、練ることを著者は教えていく。まず仲間を納得させ、教師を頷かせ、そして観客が唸るのだろう。厳しいカリキュラムに思えるが、これは社会の中で映画を作ろうと思えば、当然の話。いま、ネットで動画が溢れてる。尺が短くなりこの技法がどれぐらい生かせるか。2020/03/20
dubstepwasted
0
実践的なアドバイス。「"対話"を成立させるかどうかが、インタビューの究極にある」(p119)、「新しい事実や資料を発見したり、新たな登場人物と出会ったりした時点で、主題や意図も再検証するのが必要。新たなログラインを立て直し新たなストーリーテリングを組み立てる」(p171)、「ナレーションを練り込む時考えるのは、その言葉が映像に重なった時、どのような広がりが生まれるだろうか、ということ」(p176)、「迷宮から抜け出す最良の方法は"ガラガラポン"。積み上げた積み木を崩してまた一から組み立て直す」(p178)2020/10/18