出版社内容情報
▼17世紀フランス、王権と教会を震撼させた大宗教論争を描く。
▼宗派対立を超えて、異端の認定をめぐる排除と抵抗の力学を明らかにし、近世フランスにおける共同体と個人の関係を再考する。
▼徹底した文献調査に基づき、もうひとつの歴史を丹念に掘り起こす、革新的な一冊!
内容説明
王権と教会を震撼させた大宗教論争。宗派対立を超えて、異端の認定をめぐる排除と抵抗の力学を明らかにし、近世フランスにおける共同体と個人の関係を再考する。徹底した文献調査に基づき、もうひとつの歴史を丹念に掘り起こす、革新的な一冊。
目次
序論
第1部 「ジャンセニスム」への視線(アウグスティヌスをめぐって;政治的イメージの問題)
第2部 異端を囲い込む(事実の確定;信仰宣誓書)
第3部 抵抗と服従(署名をめぐる論争;論争と信の観念史)
結論
著者等紹介
御園敬介[ミソノケイスケ]
1975年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。クレルモン=フェラン大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学商学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
25
人間の自由意志の範囲を限定して神の恩寵を最大化する点でカルヴィニスムと似ているジャンセニスムだが、真っ向からカトリック教会に叛旗をひるがえす前者と違って、あくまでも教会の内部にとどまりながら、教皇の不可謬性に疑問を投げかけて、表向き服従しながらも、個人の良心の自由を守り通そうとするジャンセニスムは、教皇にとってもフランス政府にとっても、より一層、扱いにくい目障りなものだっただろう。ナントの勅令による寛容主義から1世紀後の勅令廃止の不寛容にいたる流れの中で、政権も教会も徐々に硬化していく過程がよくわかった。2020/06/18