出版社内容情報
グローバル化により国境を越えた組織や活動に変質が見られる。本書はこれを「統治革命」とよびその本質とメカニズムを明らかにする。
国境を越えてなお有効な統治の仕組みというものは、果たしてあり得るのか?
あるとすれば、誰がいかにしてパワーを行使するのか?
グローバル時代の国際社会規範を探る!
グローバル化にともない、国境を越えた組織や活動を統治する主体と方法に劇的な変質が見られる。本書はこれを「統治革命」とよび、狭義の「法」のみならず、法的拘束力のないルールや規範(ソフトロー)に焦点を当てて、その本質とメカニズムを明らかにする。また、「国境を越える統治(トランスナショナル・ガバナンス)」の仕組みの構築と発展を検討することを通じて、トランスナショナル企業や国際NGOなどの組織が持続的に活動するにあたって必要となる「戦略」と「選択肢」を論ずる。
はしがき
<b>序 章 グローバル化とトランスナショナル・ガバナンス</b>
1) 何故、グローバル化とトランスナショナル・ガバナンスなのか?
2) グローバル化についての2つの論点(その1):
貿易の変質と国際分業システム
3) グローバル化についての2つの論点(その2):
市場化原理と格差拡大
4) ガバナンスとは何か?
5) 本書の構成
<b>第?T部 トランスナショナル化とガバナンスの変質</b>
<b>第1章 トランスナショナル・プライベート・パワーの台頭</b>
1) FIFAとトランスナショナル・ガバナンス
2) トランスナショナル企業とプライベート・パワーの淵源
3) トランスナショナル・プライベート・パワーと知的財産権(IPR)
<b>第2章 「レクス・メルカトリア」の世界―-当事者自治の統治枠組み</b>
1) 「レクス・メルカトリア」とは何か?
2) ADR(Alternative Dispute Resolution):裁判外紛争解決
3) 新段階を迎えた「レクス・メルカトリア」
4) 日本の弁護士が世界で通用するには
<b>第3章 トランスナショナル・テクノロジーとパワーの拡散</b>
1) 「トランスナショナル化」を促した3つの革命
2) トランスナショナル・テクノロジーのパラダイム・シフト
3) トランスナショナル・ネットワーキングの時代のガバナンス
4) トランスナショナル・テクノロジーがもたらすパワーの拡散
<b>第4章 越境する人々とトランスナショナル化</b>
1) 国境を越える労働力
2) 送金経済(remittances economy)
3) 労働移動の自由と専門職
4) 移民をめぐる「人権の倫理」と「秩序の論理」
5) 「つかみどころのない空間(slippery space)」と「まとわりつく
ような場所(sticky place)」
<b>第?U部 ガバナンスの何が変わったのか?</b>
<b>第5章 統治のパラダイム転換と「規制」概念の拡充</b>
1) 統治体制(governance regime)の転換
2) 統治主体の拡張と統治方法の変質
3) 統治におけるエンフォースメントの諸相
4) 「ソフト・ロー」から「ソフト規制(regulations)」への転換
<b>第6章 トランスナショナル・ガバナンスの基本枠組み</b>
1) トランスナショナル・ガバナンスの枠組み:2つの次元と4つの象
限
2) 第?T象限(国家主体・ハード規制)
3) 第?U象限(国家主体・ソフト規制)
4) 第?V象限(非国家主体・ハード規制)
5) 第?W象限(非国家主体・ソフト規制)
<b>第7章 ハイブリッド型統治と複合規制</b>
1) ハイブリッド型統治
2) ハイブリッド型統治の諸相
3) ガバナンス戦略の重要性
<b>第8章 「主権の放棄なきオープン化」を求めて</b>
1) 超国家的統治体としてのEUのガバナンス
2) 民主的主権(democratic sovereignty)とトランスナショナル化
3) 「主権の放棄なきオープン化」:経済的現実と越境的統治の効力
<b>補論1 非国家主体としてのNGOの発展</b>
<b>補論2 トランスナショナル化とガバナンス研究の軌跡</b>
注
参考文献一覧
あとがき(結びにかえて)
事項索引
人名索引
【著者紹介】
杉浦 章介
慶應義塾大学名誉教授。Ph.D.(地理学、ペンシルベニア州立大学、1983年)
1947年生まれ。1971年慶應義塾大学経済学部経済学科卒業、1975年同大学大学院社会学研究科修士課程修了、1985年同博士課程単位取得退学。慶應義塾大学経済学部助手、同助教授、同教授を歴任。
主要著書:『都市経済論』(岩波書店、2003年)、『人文地理学――その主題と課題』(共著、慶應義塾大学出版会、2005年)、『トランスナショナル化する世界――経済地理学の視点から』(慶應義塾大学出版会、2009年)、『ジオ・メディアの系譜――進化する地表像の世界』(共著、慶應義塾大学出版会、2010年)など。
内容説明
国家の領域を越えた統治は法的に可能か?トランスナショナルな組織や活動のガバナンスには、主体と方法の両方において劇的な変質が見られる。本書はグローバル化時代のこのような「統治革命」を、狭義の「法」のみならず、法的拘束力のないルールや規範に焦点を当て、その本質と仕組みを明らかにするものである。
目次
グローバル化とトランスナショナル・ガバナンス
第1部 トランスナショナル化とガバナンスの変質(トランスナショナル・プライベート・パワーの台頭;「レクス・メルカトリア」の世界―当事者自治の統治枠組み;トランスナショナル・テクノロジーとパワーの拡散;越境する人々とトランスナショナル化)
第2部 ガバナンスの何が変わったのか(統治のパラダイム転換と「規制」概念の拡充;トランスナショナル・ガバナンスの基本枠組み;ハイブリッド型統治と複合規制;「主権の放棄なきオープン化」を求めて)
著者等紹介
杉浦章介[スギウラノリユキ]
慶應義塾大学名誉教授。Ph.D.(地理学、ペンシルベニア州立大学、1983年)1947年生まれ。1971年慶應義塾大学経済学部経済学科卒業、1975年同大学大学院社会学研究科修士課程修了、1985年同博士課程単位取得退学。慶應義塾大学経済学部助手、同助教授、同教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。