内容説明
匂いたつ夢幻の森をゆく。指環、花、飴、くだもの、雛、汽車、骨…作品にちりばめられた多彩なイメージを手がかりとして、神秘的な鏡花の物語世界をひもといてゆく、珠玉の評論。
目次
科学と神秘―モンスーンの国の書き手
女どうしを描く、銀河鉄道、鏡花発、明治のバイリンガル―感性の中のキリスト教
藤壷幻想
鏡花のおやつ、口うつしの夢
指環物語
鏡花と水上瀧太郎
百合は、薔薇は、撫子は
くだものエロティシズム
読点の魔法
あやかしの雛
骨の恋
著者等紹介
持田叙子[モチダノブコ]
1959年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了、國學院大學大学院博士課程単位取得退学。近代文学研究者。著書に、『荷風へ、ようこそ』(慶應義塾大学出版会、2009年、第31回サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
34
モチーフやテーマを定めて鏡花の作品の一面に光をあてる、そしてそれに沿った他の作家とのつながりや関りを見つけ出し、すこし鏡花を掘り下げています。泉鏡花をわかることはないでしょう。理解できる物語ではないのです。どれだけ感じることができるか、そこにあるきらめきを感じられるか、それを自らの心に見だすのが鏡花を読む醍醐味だと思います。死に永遠性を見ているこの作家は死のメタファー、百合であり宝玉であり、を好んで使い妙なる光と香りを発しています。少しわかりづらいところにあるそれを、この本はちらりと見せてくれます。2018/11/08
A.T
15
2年前、金沢へ旅行するに先立ちふと泉鏡花に触れたのがきっかけ。鏡花の文学は、現代の一見さんには敷居が高い。一足とびに幻想の世界へ入り込む。それがどこへなのか、なぜなのかー、この本の著者持田叙子さんが解説してくれます。さらに同時代の南方熊楠、師匠尾崎紅葉、三田文学水上瀧太郎との出会いなど、鏡花文学のバックボーンを知ることでやっとわかることがたくさんありました。2017/08/19
白露で秋草を釣る柊さん
9
何度も読んでる本です。泉鏡花が大好きなのは元々ですが、著者の言葉は読者を鏡花の世界に引きずり込むような魅力?魔力?を持ってる。鏡花に興味ある方は一読の価値あると思う本。2014/03/14
miloumogu
1
鏡花が幼少期に生家の近所にある「森八」のお菓子を母と食べた経験が小説の性愛描写のモチーフにつながっていたり、越前の湿った風土があのイギリス湖沼地方と並べられていたりして、地元なのにまったく実感がわかないのだが、この実感のなさが作品の普遍性や壮大さ、そして幻想性を物語るのかな、とも。2013/03/24
takao
0
ふむ2025/05/31