内容説明
農民美術とは…洋画家・版画家の山本鼎(1882‐1946)が提唱した芸術運動。欧州留学の帰途、ロシアの農村工芸品を目にした鼎は感銘を受け、農閑期の副業奨励と農民の芸術活動への参加を目的として、1919年、現在の長野県上田市に農民美術練習所を開設。そこからおよそ15年の間に全国で次々と生産組合が結成され、木彫を主とした生産品が作られた。
目次
1章 木片人形 その1
2章 木片人形 その2
3章 木片人形 その3
4章 様々な農民美術とデザイン画
5章 山本鼎と農民美術
6章 現代の農民美術
著者等紹介
宮村真一[ミヤムラシンイチ]
農民美術研究家。1952年長野県生まれ。武蔵野美術大学卒、多摩美術大学大学院修了。農民美術の木片人形及び木彫風俗人形の分類をテーマに調査して30年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
63
山本鼎がロシアの影響で、上田で始めた農民芸術。素朴な木彫り人形。大正~昭和初めのみ。第2次大戦が始まると廃れてしまった。 八雲の木彫りクマの話がちょっと意外。徳川家がスイスから導入。 どちらもかってはどこの家にも飾ってあったものです。2023/01/09
たまきら
46
新刊コーナーから。フォークアートが好きな自分にはたまりません。手慰みに作ったのかな…とか、想像しながらめくる楽しさよ。エゾヒグマの木彫りのコラムが特に楽しく、これだけで一冊まとめている本が読みたいぐらい。なんか図書館が最近木彫り系の本をたくさん購入してくれて、素直に嬉しいです。2022/10/16
FOTD
24
有名な登山人形やスキー人形だけだなく、各地の木片人形が美しい写真で見られる。また、それだけでなく、箱型玩具や菓子入れも掲載されていて、当時のバリエーションがよくわかる。素晴らしい本だ。 山本鼎が目指した 美術の大衆化 は、自由画教育運動とともに農民美術運動も、純粋芸術であるという側面もあったはずである。しかし、貧しい時代だったので 、運動に参加する人たちの第一の目標が副収入を得ることになってしまっていたので、この運動はわずか15年ほどで先細りになってしまったと思われる。(コメント欄に続く)2023/11/17
itokake
20
今から100年ほど前の農民たちが、農閑期の副業として作った木彫りの人形写真集。フランス留学帰りにロシアで見た民芸品に感銘を受けた山本鼎が、日本でも同じことができないかと模索した結果、生まれた。芸術家ではない「普通の」人々の作品。熟練の美とはまた違う、非熟練の美。アールブリュット。例えば小中学校の美術の時間に出来上がる作品。生まれながらとしか言いようのない圧倒的な才能を持つ人がいたり、メキメキと腕をあげていくクラスメイトを思い出した。個人的には新治(にいはり)人形の赤ゲットが好き。2023/08/12
ざるめ
11
どれも素朴で暖かみがあって大好き!(*^^*)集めたくなっちゃう♪展示してある場所も見て回りたいなぁ2022/11/20