内容説明
ある夜、公園で背の高いベンチを見た。妙だと思って、よく見てみたら、そのベンチには大きな足がついていた―。『考えの整頓』から10年、『暮しの手帖』の大人気連載の第2集。日本文藝家協会編ベスト・エッセイにも選出された「たしかに…」「向こう側に人がいる」など全23編を収録。現代の考える人による面白くて、世の中の見え方が変わる考察集。
目次
向こう側に人がいる
家の中で一番年を取るところどーこだ?
ものには順序がある
ボールペン奇譚
たしかに…
その状況が伝えてくれること
○○○○○○○○問題
脳の中の新しいつながり
携帯電話は知っていた
あぁ、またやってしまった
フィッ、フィッ
みなさんの○○○問題
5名の監督
全国の巻き尺への疑惑を晴らしたい
とくの話
間違った使い方か 新しいのか
かわいいを巡る考察
憎き相手校を応援する理由
ベンチの足
指を置く
トースターは誰が発明したか
名優のラジオ
名優のラジオ 後編
著者等紹介
佐藤雅彦[サトウマサヒコ]
1954年静岡県生まれ。東京大学教育学部卒。1999年より慶應義塾大学環境情報学部教授。2006年より、東京藝術大学大学院映像研究科教授。平成25(2013)年紫綬褒章受章。2014年『八芳園』、2018年『DUALITY』がカンヌ国際映画祭短編部門に正式招待された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
93
さすがの佐藤先生ならではの視点。やはり、こういう拘りがあるからこそ、ピタゴラスイッチにつながるのだろう。日常の何気ない営みに潜む、興味深いこと。それは、たいていの場合、見過ごしてしまうことがら。少しは、佐藤先生の思考回路に近づきたいと思う。それが、イノベーションへの第一歩のような気がする。2021/06/07
seacalf
87
ピタゴラスイッチの生みの親という事くらいしか知らなかったが、東大卒で慶大研究室で色々活動されて今は藝大の教授、紫綬褒章も受賞されているのね。だけど、洗濯機に誤って入れたティッシュの洗濯物への付着について日曜の朝から真剣に取り組んだり、誰もあまり気付かないメジャーの先端の金具の緩みについて熱く語ったり、電車の中で偶々居合わせた小学生の一言に羨ましさで煩悶したりと、なかなかエッジの効いた人だ。取り上げているトピックはすべてユニークで面白いので、するすると読める。台風で外に出られない日に気楽に読むのにお勧め。2021/10/01
chimako
86
すごく面白かった。著者の佐藤さんは地頭もセンスも良い人だと痛感する。目の付け所が正に「妙」なのだ ←あとがき参照 本を読む小学生のつぶやき、金属製メジャーのガタつき、洗濯機のティッシュ、カンヌ映画祭、おもしろや可愛い、そして、ベンチの足。目から鱗が落ちる爽快さを味わいつつ、「この人が家族だとちょっと面倒だな」と感じ、知らないことや知らなくても良いことにハッとさせられる。凡人の見本のような読み手にも一方的でない物事の見方を教えてくれる。トースターの分解授業、楽しそうだなぁ。学生さんがうらやましい。2022/07/27
キジネコ
47
ピタゴラ…だんご3…0655・2355ポリンキーでもって「バザールでござーる」みんな知ってるのに佐藤さんの御名前知りませんでした。なんで?読みたいと思ったのか?忘れる程図書館の予約が遅々でしたが漸く回ってきてチャチャっと読了。面白うございます。文章が良い、諄くないし押し付けがましくない。斯く在るべき、みたいな教条主義的な誘導もなく読者に考える余地をチャント残してくれる。星三つ「全国の巻き尺への疑惑を晴らしたい」がピンポン♬ですけど他にも印象的な項が沢山。深層意識の浅めのトコを浮遊してる「妙」の囁きをきく。2022/09/27
クラミ♬
45
CM、ピタゴラ、0655、などなど大変お世話になっております。チームスタッフ(学生さん?)達も素晴らしいのでしょうね(*´-`)「たしかに…」「◯◯◯問題」そこに気付くかという発想が凄い!「巻尺への疑惑」「憎き相手校を応援する理由」とても腑に落ちる内容!それでいて「向こう側に人がいる」「とくの話」とハートウォーミングなところもある。佐藤雅彦さん…貴方は万能です!2021/11/09