長距離走者の生理科学 - 生理機能特性とトレーニングの科学的背景

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  • サイズ A5判/ページ数 225p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784764410701
  • NDC分類 780.193
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 競技者のための運動生理学書は国内外を問わず多数出版されています.しかし,長距離走者のみに焦点を当て,その生理機能特性や競技に必要とされる生理学的能力とパフォーマンスとの関連性,さらに現場に直結した生理学的側面からのトレーニング理論の解説までを記した書籍はありませんでした.
本書は,これまで糸が複雑に絡まったような状態であった長距離走者の運動生理学を解きほぐし整理して,専門的な知識がなくとも理解できるよう平易な表現でまとめてあります.
基礎編では,長距離走者に必要な生理機能特性とその生理的意味・パフォーマンスへの貢献度等を,応用編では生理学的知識を基礎にしたパフォーマンス向上のためのトレーニング理論,さらにトレーニングに伴うスポーツ障害の回避および予防法まで解説しています.
また,著者は実際に陸上競技を指導している,あるいは過去に陸上競技選手としての経験を持つ研究者を中心に執筆をお願いし,理論が実際の競技へより反映されるよう配慮しました.
陸上競技における長距離走種目の指導者・競技者,および一般市民ランナーにとって,今後のトレーニング計画立案の一助となれば幸いです.さらには体育教師,体育を専攻とする学生,そして陸上競技以外の持久性競技者にも十分に活用できるものと信じています.    

《目次》
第1部 基礎編 長距離走者の生理機能特性
1章 長距離走者の呼吸機能特性
1.換気と酸素摂取の関係
2.酸素摂取の応答特性
3.換気と二酸化炭素排出の関係
2章 長距離走者の循環機能特性
1.有酸素性作業能力と循環機能との関連性
2.安静時の心拍数,一回拍出量,心拍出量,血流配分
3.運動時の心拍数,一回拍出量,心拍出量,血流再配分
4.スポーツ心臓(競技者心臓)
5.長時間運動時の循環応答特性
3章 長距離走者の筋機能特性
1.筋疲労のメカニズム
1)乳酸の蓄積と筋疲労
2)筋グリコーゲンの枯渇と筋疲労
2.筋代謝特性
1)筋のエネルギー代謝
2)筋線維組成
3.持久性トレーニングに対する骨格筋の適応
1)筋線維組成の変化
2)毛細血管数の変化
3)ミトコンドリアの密度と酸化系酵素活性の変化
4)乳酸輸送担体の変化
5)運動時の代謝応答の変化
4章 長距離走者の無酸素,有酸素性能力の特性
1.無酸素性能力
1)酸素負債(oxygen debt)
2.有酸素性能力
1)最大酸素摂取量(maximal oxygen uptake, VO2max)
2)乳酸性閾値
3)酸素摂取水準維持能力
4)走の経済性(running economy)
5)有酸素性能力と競技パフォーマンス
3.乳酸代謝特性
5章 長距離走者の内分泌と血液成分特性
1.内分泌特性
1)持久性運動中の糖・脂質代謝に作用するホルモン
2)代謝にかかわるホルモンの持久性トレーニングによる分泌変化
3)循環血液量調節にかかわるホルモンの持久性トレーニングによる分泌変化
4)性ホルモンの持久性トレーニングによる分泌変化
2.血液成分特性
1)持久性トレーニングによる血液量変化
2)持久性トレーニングによる運動性貧血
3)持久性トレーニングによる白血球の変化
6章 長距離選手における水分代謝と体温調節機能の特性
1.体温調節
1)運動時体温調節の概略
2)長距離・マラソン走行と体温
3)体温調節における発汗の役割
4)マラソン走行時の発汗
2.水分代謝
1)体熱出納
2)高温下長時間運動中の代謝・体温調節の応答の動向
3)体液減少時の体温調節・循環反応
3.暑熱順化(heat acclimation),身体の持久性トレーニングと体温調節機能の向上
7章 長距離走者における身体組成の特徴
1.体脂肪量(fat mass,FM)
2.皮下脂肪厚および体脂肪の分布と,性差
3.除脂肪量(lean body mass,LBM)に対する視点
4.女性長距離走者における問題点
5.身体組成評価に関する課題
第2部 応用編 パフォーマンス向上のためのトレーニング理論
8章 長距離走トレーニングの特性と生理的効果
1.長距離走トレーニング法の特徴
1)持続走トレーニング(continuous running training)
2)インターバルトレーニング(interval training)
3)スピードプレイ(speed play),野外走,クロスカントリー走
4)実践的トレーニング
5)スピードトレーニング
6)持続走とインターバル走との組み合わせによる持久性能力の向上
2.生理的特性および競技特性の分析
1)能力判定
2)各個人の乳酸性閾値の走速度決定とトレーニング強度設定
9章 パフォーマンス向上に有効なトレーニング計画
1.トレーニングの原則と期分け
1)トレーニングの原則
2)トレーニング課題として目標の設定
3)トレーニング周期とトレーニング条件
2.種目別に要求される生理的能力
3.トレーニング計画
1)準備期
2)試合期
3)移行期
4.トレーニング計画における留意点
10章 テーパリングの方法
1.テーパリングとは
2.テーパリングの意義
3.テーパリングの生理学
1)酸素摂取量
2)有酸素性能力
3)筋 力
4)疲 労
5)筋のダメージ
4.テーパリング期のトレーニングの頻度・時間・強度
1)頻 度
2)時間(走行距離)
3)強 度
5.テーパリングの期間
6.具体的なテーパリング例
1)事例1
2)事例2
3)事例3
4)事例4
7.成功するテーパリングのために
11章 クーリングダウンの方法
1.クーリングダウンの実状
2.クーリングダウンの生理学的意義
1)帰還血流量の確保
2)乳酸除去の促進
3)スティッフネス(筋の張り)の緩和
3.クーリングダウンの実施
1)強 度
2)時 間
3)ジョギング以外のクーリングダウン
4)実際のクーリングダウン
4.クーリングダウンの注意点
5.競技中のクーリングダウンの意義
6.傷害予防とクーリングダウン
12章 競技力向上のための栄養摂取
1.重視すべき栄養素
1)糖 質
2)タンパク質
3)鉄
4)ビタミンB群とビタミンC
2.疲労回復のための糖質摂取
1)糖質摂取のタイミング
2)糖質の種類
3)糖質とタンパク質あるいはクエン酸の同時摂取
3.筋を消耗させないためのタンパク質・アミノ酸摂取
1)タンパク質摂取のタイミング
2)タンパク質の種類
3)長時間運動前のアミノ酸摂取
4.貧血を防ぐための鉄分摂取
5.競技力向上のための栄養摂取
1)筋疲労を予防するための糖質摂取
2)中枢性疲労を予防するためのBCAA摂取
13章 競技当日の環境変化(気温,湿度)への対策
1.長距離走行時の体熱出納:「体熱の定常状態」の形成
2.水分摂取の立場から
1)水分摂取の必要性
2)水分組成について
3)水分の摂取方法とその量
3.湿球黒球温度(WBGT)等による環境条件の把握から
4.服装の立場から
5.身体冷却の立場から
14章 長距離走者のランニング障害
1.障害の診断
1)解剖学的診断と病理学的診断1
2)障害の成り立ち
2.治 療
1)障害のとらえ方
2)治療法の選択
3.予防と管理

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