内容説明
福音書や使徒行伝に描かれた歴史の言憑性が疑われるようになって久しいが、それはどこまで本当か。古代のさまざまの歴史書や伝記の書き方と比較・検討しながら、新約聖書の歴史記述の信憑性に新たな光を投じた話題の書。歴史資料としての使徒行伝を基に、原始キリスト教史の決定的な時代を描き出し、従来の説に見直しを迫る。
目次
第1部 古代と原始キリスト教とにおける歴史記述(古代の歴史記述と伝記との枠内における原始キリスト教史資料の検討;歴史資料としての『使徒行伝』;原始キリスト教の歴史に関する資料としての原始キリスト教の歴史作品、及び、ケリュグマと歴史物語との統一;歴史的=批判的方法に寄せて;神学的歴史記述家としてのルカに関する流行遅れの考察)
第2部 原始キリスト教史を画する決定的な新時代―世界伝道への道(ヘレニストたちと彼らのエルサレムからの追放;パウロの召命;ペテロと異邦人伝道;アンティオキアにおける決定的躍進;いわゆる「使徒会議」とその結果)
第3部 付論 歴史的方法と新約聖書の神学的解釈(テーゼ)