内容説明
本書は哲学者としてのトマス・アクィナスを扱ったものであり、必ずしもトマスと同じ神学上の関心や信仰を持っていないと思われる読者のために書かれたものである。第一章は聖トマスの生涯と彼の著作についての解説と、現代の哲学にとってトマスがいかなる重要性を持っているかについて触れている。第二章はアクィナスの形而上学の体系における主要な考え方の概略を述べたものであり、存在についての学説についても検討を加えている。第三章はアクィナスの精神に関する哲学に充てられている。
目次
1 生涯
2 存在
3 精神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梅村
2
著者の『トマス・アクィナスの心の哲学』と同様、レポート課題の参考に読ませてもらいました。トマスの生涯と、また彼の提唱したいくつかの概念に対する著者の考察が記されています。トマスの文献に関する内容が整理して語られている事と、この「コンパクト評伝シリーズ」という本の性質もあるのかもしれませんが、こちらの方が読み進め易かったよう思いました。というか、どう考えてもこちらを先に読むべきでしたね……。2014/08/21
taming_sfc
0
ケニー, A著、高柳俊一・藤野正克先生訳による1996年の書籍。トマス・アクィナスの生涯から話を説き起こし、形相・質料といった存在論、さらには、それにもとづく精神に関する考察を行っている。トマス・アクィナスの諸文献から、上記3つのテーマに沿って整理を行っているが、アクィナス自身が混乱もしくは矛盾している点を明快にあぶりだしている部分もあり、難解なアクィナス理解の一助となることは確かである。アクィナスの原著を読み進めるうえで、並行して読むことを薦めたい一冊である。2010/11/27