出版社内容情報
《内容》 本書は,米国ミネソタ大学コミュニケーション障害学科の講座を担当するBrookshire教授が長年にわたり学生を教えた経験に基づいて書かれた入門レベルの書である.成人の神経疾患に起因するコミュニケーション障害を扱うSTにとって必要と思われる基礎知識がわかりやすくまとめられている.これまでにわが国でも優れたテキストが何種類か出版されているが,その多くは失語症,運動障害性構音障害,発語失行といった言語(speech または language)障害については詳しく書かれているものの,痴呆(第10章),外傷性脳損傷(第9章),および右半球損傷(第8章)による認知およびコミュニケーション障害の特徴や評価・マネージメント法などについては本書ほど丁寧に述べてあるものは少ない.また訓練についての基本的な考え方や留意事項,実際の方法が,具体的に述べられており,学生はもちろん臨床家にも役立つ内容となっている. 《目次》 日本語版への序監訳者の序訳者序文第1章 神経系の解剖 神経系の全体的な構造 中枢神経系 神経細胞と神経伝導路 末梢神経系 脳への血液供給第2章 神経学的検査 患者の病歴 診察および検査 臨床検査結果の解釈第3章 失語症の神経病理学 急性の異常 緩徐性の変化第4章 失語症および関連する障害の神経生理学 言語における大脳半球優位性 失語症の連合学説 言語と脳 最近の知見による連合学説の修正 皮質下性失語 損傷の大きさ,損傷部位,失語症候群 関連障害について第5章 失語症および関連障害の評価 正式な検査の準備 検査の選択 総合的な失語症検査 主要な失語症検査について 実用的コミュニケーションの評価 その他の言語検査 知能および認知の検査 検査の解釈第6章 神経疾患に起因するコミュニケーション障害の訓練における留意事項 脳損傷が行動に及ぼす影響 反応の妥当性を左右する「周辺言語的」要因 訓練対象者の選定 リハビリテーションチーム 「何を訓練するか」を決定する方法 訓練セッションの一般的な特徴 課題の難易度 反応の記録と図表化 フィードバックの役割 訓練室から実生活への般化を高める第7章 失語症の訓練 失語症訓練の基礎となる前提 訓練の適応 訓練の目標 訓練の焦点と進行 聴覚的理解の訓練 読み(読解)の訓練 話しことばの産生訓練 書字の訓練 成人失語症者のためのグループ訓練第8章 右半球症候群 右半球損傷による行動および認知面の症状 右半球損傷患者を評価するための諸検査 視知覚の検査 右半球損傷者の訓練 認知および知覚面の障害 般化第9章 外傷性脳損傷 神経病理 穿通性脳損傷 非穿通性脳損傷 外傷性脳損傷の2次的影響 虚血性脳損傷 脳血管攣縮 外傷性脳損傷患者の評価 外傷性脳損傷患者のリハビリテーション第10章 痴呆 痴呆の原因 痴呆の臨床的マネージメント 痴呆患者と家族の長い道程第11章 運動障害性構音障害 運動障害性構音障害の神経病理学 運動速度および協調運動の低下 感覚の喪失 神経学的障害が話しことばの過程に及ぼす影響 運動障害性構音障害の評価 運動障害性構音障害の訓練 環境調整および教育指導 医学的および外科的治療 コミュニケーションの補助および代用手段第12章 発語失行 発語失行の神経生理学 失行の診断 発語失行患者の評価 発語失行の訓練文献索引