出版社内容情報
「なりたい自分」を求めてSNSを彷徨う現代人を描く!
“多様”な人生が当たり前に映し出されるネット時代、
「美しさ」「魅力」「欲望」はどこからきて、これからどこへ向かうのか?
スウェーデン発のグラフィックノベル
世界で最も読まれている作家の、「美しさ」をめぐる哲学的コミック!
内容説明
「なりたい自分」を求めてSNSを彷徨う現代人を描く!“多様”な人生が当たり前に映し出されるネット時代、「美しさ」「魅力」「欲望」はどこからきて、これからどこへ向かうのか?スウェーデン発のグラフィックノベル世界で最も読まれている作家の、「美しさ」をめぐる哲学的コミック!
目次
鏡の前の女の子
レアのブサイクな目
亡霊のような痕跡
白雪姫の母
暴君のような絵
著者等紹介
ストロームクヴィスト,リーヴ[ストロームクヴィスト,リーヴ] [Str¨omquist,Liv]
1978年生まれ。スウェーデンの漫画家。2005年にデビュー作『脂肪分100%』が大ヒット、『チャールズ皇太子の気持ち』(2010年)、『栄華と凋落』(2016年)などの作品で、スウェーデンを代表する漫画家、文化人としての地位を確立
よこのなな[ヨコノナナ]
1977年生まれ。90年代半ばと2000年代初めにスウェーデンの地方都市でスウェーデン語や社会科学を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
42
新刊コーナーから。女性がどのように評価されてきたか。どのように自己評価してきたか。著者の考えが著名な女性たちから見えてきます。ぞっとするようなマリリン・モンローのフォトセッションとキム・カーダシアンのぞっとするような自己表示の比較には共感と同じぐらい同族嫌悪も感じました。醜かったというジョージ・エリオットの幸せな創作人生と、美しきサーカス娘エルヴィラ・マディガンの悲惨な人生の比較。美の祝福、そして美を使いこなせない者にかかる呪い。迷宮に迷い込んだエリザベート…。女性にとって一読の価値がある本です。2022/09/22
katoyann
20
容姿の美しさに囚われてしまう状況について社会学、歴史学、哲学などの研究知見を参考にしながら考察した本。ルネ・ジラールの「欲望の模倣」理論やシモーヌ・ヴェーユーの論考まで幅広く学説を引用しながら、美を体現したいという欲望には主体性がなく、また美しさが儚く移ろいやすい特徴を持つことを説明している。私たちが見かけをやたらと気にするのはソーシャル・メディアの発展も大きいが、根本的には結婚と恋愛が個人の自由意思によるものとされたためだとする。美とはいつか終焉を迎える儚いものであると改めて気づくことができた。2024/03/22
ズー
12
漫画なんだけど、結構文字多めで読み応えあり。「美」への価値観。失われるからこそありがたく思えることうんぬん。なるほどそうだねそうだよねがいっぱい。たしかに世の中の美の価値観はじつは固まっていて、美しいとされるものって結局似てきてしまうとか。恐ろしさもあり。他人からの自分のイメージと本来の自分とのバランスとか。勉強になった。2022/12/15
die_Stimme
5
ルッキズムという言葉が一人歩きしているわりに、それについて考察されたものがあまりに少ないと思う。本書はユーモラスなコミックエッセイの形ではあるし体系的とは言えないが、それでも関連する理論を紹介しつつ問題のありかを見せてくれ、今のところ類書は他にないしとても勉強になった。2024/08/17
brzbb
4
パンチラインだらけで笑えて考えさせられてペーソスがあって、とにかく全ページおもしろい、おもしろさ純度100%のコミック・エッセイ。女性を鏡の間に閉じ込める「美」、女性に権力を与える「美」、フェミニズム視点からの批判だけじゃなく、後期資本主義的消費社会とSNS時代の現代において「美」とは何か、など多面的に考察されている。訳者である"よこのなな"氏による訳者解説も本書の内容を完璧にまとめあげてる。2023/02/10