内容説明
フランスで今一番有名な女性医師。人口あたり感染者数が世界最多クラスのフランスで、医師のカリンは「識者」として突如時の人に!日々SNSに寄せられる“クソリプ”の嵐、陰謀論を信じ込む友人、そして専門家会議の男社会―うんざりする日々の中、未知の脅威と向き合った記録。
著者等紹介
ラコンブ,カリン[ラコンブ,カリン] [Lacombe,Karine]
感染症専門医で教授、パリ・サンタントワーヌ病院感染科長。新型コロナウイルス感染症に罹患し、完治した患者の血漿を用いた治療法の研究の責任者でもある
ルザーティ,フィアマ[ルザーティ,フィアマ] [Luzzati,Fiamma]
イタリア・シチリア出身のバンド・デシネ作家
大西愛子[オオニシアイコ]
1953年、東京生まれ。フランス語翻訳・通訳。バンド・デシネの翻訳多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ツキノ
22
2021年4月発行。男性社会であるフランスの医学界で(現場で働く人は多いが上層部には少ない)パリの病院初の感染科長になり、有識者としてメディアでの発言を頻繁に求められ発言しマスコミの寵児となったカリン・ラコンブ。患者の医療従事者が感じた精神的崩壊、興奮、恐怖などを知ってもらいたい、と制作された「グラフィック・リポート」。発言すると女性蔑視を含む誹謗中傷の嵐にさらされる。フランスをもってしても!医療器具や薬の生産を海外に分散させたのは大きな間違いだった、とも言っている。患者の視点もあり。2021/08/11
くさてる
19
フランスでコロナに立ち向かった感染症専門の女医の姿を描いたバンドデシネ。コロナ患者の女性の物語も同時進行で語られて、描写に深みを与えている。すこし驚いたのはフランスの医学界がかなりの男性社会というあたり。日本のマンガに慣れていると読みにくく感じるかもしれないけれど、コロナという未曽有の事態を前にしたフランスでの医師の姿をリアルに描いていて、興味深い内容でした。2021/07/07
サケ太
19
これを乗り越えてきた。COVID-19に苦しめられるパリの、女医と感染した女性の視点から描かれるバンド・デシネ。 淡々と闘いと恐怖が描かれる。 「わきまえない」女性として、発言を続けてきた彼女。敵は多いがパワフルな姿は素敵。 だがまだ戦いは終わらない。続く混迷の中。現在を生きている、と感じさせてくれる。2021/04/29
ヘジン
9
フランスのコロナ禍の貴重な記録。私が日本では聞いたことがなかったような見解も描いてあった。パンデミックを乗り切った医療関係者の方々には感謝しかない。著者は感染症専門家の教授。首相の記者会見に同席を請われるほどの知見の持ち主。しかし何か発言すると、専門知識のない一般人からの性差別的な誹謗中傷にさらされる。そんなことにかまっている暇もないこの非常事態になんたること。2023/12/07