内容説明
母が決して語ることのなかった、「拷問」の記憶―臨床心理士である月子は、母・琴が、戦時下における逮捕・拷問のフラッシュバックに苦しんでいることに気が付いていた。しかし琴は、当時の記憶について語ることなく逝ってしまう。良家の子女であった琴が、なぜ思想犯として逮捕されたのか。文学を愛した両親が遺した作品に導かれるように、月子は家族の歴史を辿り始める―治安維持法の時代を生き延びた、家族の物語。
著者等紹介
横湯園子[ヨコユソノコ]
1939年静岡県生まれ。前中央大学教授、元北海道大学教授。臨床心理士。国立国府台病院児童精神科病棟児対象の治療的教育に関わり、都道府県長期研究生として東京大学教育学部にて研究。千葉県市川市教育センター指導主事を経て、女子美術大学助教授、北海道大学教授、中央大学文学部教授。定年退職後はフリーの心理臨床家として子ども・青年の諸事に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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