内容説明
731部隊で結核・梅毒の人体実験を企画・実行した二木秀雄。戦後GHQによって免責された彼は、故郷の金沢で時局雑誌刊行を始め、政財界にも人脈を広げる。個人の一生をたどりながら、戦後に連続した731部隊の隊員たちの活動と、医療民主化の裏側での医学者たちの復権をアメリカ公文書などの新資料から明らかにする。
目次
第1部 七三一部隊の隠蔽工作と二木秀雄(ゾルゲ事件と七三一部隊の二つの接点;「悪魔に影を売り渡した男」―二木秀雄の生体実験;関東軍七三一部隊の敗戦と証拠隠滅;再編・継承・隠蔽された七三一部隊;第一次サンダース調査団への隠蔽と免責工作―有末精三と亀井貫一郎の暗躍)
第2部 七三一部隊の免責と『政界ジープ』(金沢でのGHQ工作―二木秀雄の雑誌『輿論』刊行;『輿論』『日本輿論』とCCDの検閲―天皇制と原爆・原子力;石井四郎の出頭からデータ提供とバーターでの免責へ;二木秀雄の大衆時局雑誌『政界ジープ』―免責迂回作戦;帝銀事件におけるG2の捜査妨害―七三一部隊の実質的解散)
第3部 七三一部隊の復権と二木秀雄の没落(二木秀雄『政界ジープ』の逆コース、反共雑誌化;シベリア抑留と米ソ情報戦;サムス准将の医療民主化と七三一医学者・医師の復権;二木秀雄の医薬業界への復権と日本ブラッドバンク創設;二木秀雄の出版ビジネスの謎と「政界ジープ事件」による没落)
著者等紹介
加藤哲郎[カトウテツロウ]
1947年岩手県生まれ。東京大学法学部卒業、博士(法学)。現在、一橋大学名誉教授。英国エセックス大学、米国スタンフォード大学、ハーバード大学、ドイツ・ベルリン・フンボルト大学客員研究員、インド・デリー大学、メキシコ大学院大学、早稲田大学大学院客員教授等を歴任。専門は政治学・比較政治・現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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