内容説明
オペラの変革、実験的な音楽劇をめざした劇作家・演出家ブレヒト。音楽家たちと巨人ブレヒトの格闘をたどり、音楽劇としてのブレヒト劇の特性を浮き彫りにする。―ヴァイルと作ったオペラ『マハゴニー市の興亡』、コンサートヴァージョンもあるアイスラーとの『母』、デッサウの歌で有名な反戦劇『肝っ玉おっ母とその子どもたち』。ブレヒトが最も実りある共同作業をしたと言われる三人の作曲家と、彼らとの密接なパートナーシップにより生み出された三つの音楽劇を中心に論じる。
目次
1(ブレヒトと彼の作曲家たち)
2 シンポジウム「ベルトルト・ブレヒトにおける音楽と舞台」(イチョウの葉―ブレヒトとヴァイルの『マハゴニー市の興亡』に見られる音楽とテクストの相反する統一性;「あなたが指導しなければならない!」―ブレヒト/アイスラーの『母』;「オーケストラに自由を!」―ブレヒト作品のスイス初演のための舞台音楽;音楽のモダニズムとその展開―日本の作曲家たちによる開かれたブレヒトの音楽劇)
3 アジアにおけるブレヒト上演と音楽(『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の舞台装置―韓国の『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の舞台と音楽・その1;『肝っ玉おっ母とその子どもたち』に使われた音楽―韓国の『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の舞台と音楽・その2;ブレヒト劇とかかわった日本の作曲家たち;ブレヒト・ケラーの韓国公演―『ゴビ砂漠殺人事件』の舞台と音楽)
著者等紹介
市川明[イチカワアキラ]
大阪大学大学院文学研究科教授。アート・メディア論講座教授。科研費プロジェクト「ブレヒトと音楽」の研究代表者。専門はドイツ文学・演劇。ブレヒト、ハイナー・ミュラーを中心にドイツ現代演劇を研究している。NHKドイツ語講座の講師を長らく務め、『ドイツ語ステップアップ』などの語学参考書・教科書も多い。演劇創造集団ブレヒト・ケラーの代表幹事として、ブレヒトや現代ドイツの演劇作品を翻訳し、関西で上演し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。