内容説明
本書は、鎌倉期から室町期に至る中世において、「寺院」という場から立ち上がる文芸の様相を通史的総合的に捉えようとするものである。大和国に点在する興福寺、法隆寺、西大寺、長谷寺、達磨寺に伝わり、あるいはそうした場における人的交流等から生まれた作品と、交流そのものを吟味し、寺院における文芸活動の実態を明らかにすることによって、文芸がいかなる環境で生成され、そして後代へと享受されてゆくのか、その様相を考察する。
目次
第1章 中世南都の文芸生成(興福寺の周辺―『楢葉和歌集』の窓から;天文期興福寺僧賢忍房良尊の場合)
第2章 中世法隆寺における文芸生成(定円と『法隆寺宝物和歌』(付・定円和歌一覧)
無住と法隆寺僧恵厳 ほか)
第3章 中世寺院における文芸享受(鴨長明仮託書『長明文字〓』の成立とその享受;西大寺蔵写本『妻鏡』をめぐって ほか)
第4章 資料翻刻(達磨寺蔵『大和国片岡山達磨禅寺御廟記』;西大寺蔵写本『妻鏡』 ほか)
著者等紹介
加賀元子[カガモトコ]
昭和39年兵庫県生まれ。昭和57年武庫川女子大学文学部国文学科卒業。平成7年武庫川女子大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(国語国文学)。現在、武庫川女子大学短期大学部助教授
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