出版社内容情報
患者の「こころ」の問題が,どのような病気やどのような治療によってもたらされるのか。また,チーム医療の一員として,身体医療との連携のなかで行われるメンタルケアとはどのようなものか。その実践について,がん,心臓疾患,糖尿病,腎疾患,脳損傷,慢性疼痛など,できるだけテーマを細分化し,網羅的に紹介する。
◆本書の概要(「はじめに」より)
本書は今後の日本の医療における「こころのケア」の道しるべになることを期待して内容を吟味して編集を行った。具体的には,まず,患者の「こころ」の問題が,どのような病気やどのような治療によってもたらされるのかを,各領域で活躍する医師にご執筆いただき,「からだ」から「こころ」という視点を導入の柱とした。次に,「こころのケア」と一口に言っても,身体疾患患者へのケアは,精神医療で行われる心理療法やカウンセリング(一般的にイメージされる個別の心理相談など)などとは大きく異なるものである。したがって,チーム医療の一員として,あるいは身体医療との連携として行われる「こころのケア」とはどのようなものかという視点を第二の柱とした。そして,第三の柱として,上記の2つの柱を踏まえた実践としての「こころのケア」について,できるだけテーマを細分化して,かつ網羅的に紹介できるように構成した。いずれの章の著者も,各領域でのオピニオンリーダーと言って間違いない方たちであり,本書が今現在の日本における「からだの病気」の「こころのケア」のまさに最前線である。
本書が,医療機関における「こころのケア」の実践の手がかりとして活用されるとともに,医師や看護師,コメディカルスタッフの参考書となること,さらには,身体疾患患者のメンタルケアの専門家を目指す公認心理師の必須教科書として活用されることを期待したい。
◆執筆者一覧
鈴木 伸一 早稲田大学人間科学学術院
目次
第1部 患者の生活を取り巻く「からだ」と「こころ」の悩みを理解する(「からだの病気」の患者たちへの「こころのケア」が求められている;がん患者の「からだ」と「こころ」;生活習慣病患者の「からだ」と「こころ」 ほか)
第2部 チーム医療に必要な「こころのケア」の実践スキル(医療スタッフへのコンサルテーション;利用可能な社会的リソースの有効活用;患者を取り巻く「家族」という視点からの支援)
第3部 「からだの病気」を抱える患者への「こころのケア」の最前線(外来がん患者のケア;入院がん患者のケア;子育て世代のがん患者への支援 ほか)
著者等紹介
鈴木伸一[スズキシンイチ]
東京に生まれる。2000年早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。2000年岡山県立大学保健福祉学部専任講師。2003年広島大学大学院心理臨床教育研究センター准教授。現在、早稲田大学人間科学学術院教授、博士(人間科学)。専門領域は臨床心理学(認知行動療法)、医療心理学、行動医学。これまで、東京女子医科大学、綾瀬駅前診療所心療内科、広島大学病院、赤坂クリニックなどにおいて、チーム医療におけるメンタルケアを実践。最近は、がんや心疾患をはじめとする重症身体疾患患者のメンタルケアシステムの構築や、医療現場で働くリエゾン心理師の養成などに積極的に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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