出版社内容情報
「法」と「心理学」を巡る日本と中国の対話。双方の研究者が独自の研究成果を持ち寄り,法心理学の歴史と現状,法システムの特徴とその違いを明らかにした後,これらを踏まえた研究論文を各5点掲載。4人の編者による公開座談会や,日本の法心理学会作成「目撃供述・識別手続に関するガイドライン」(骨子)を巻末に収録。
はじめに
第1部 日中の司法と法心理学―刑事司法を中心に―
第1章 日本における「法と心理学会」の歴史と課題―供述心理学領域の研究・実践に焦点を当てて―
1 法と心理学会の設立とその前史
2 日本における冤罪事件とその問題状況
3 日本型精密司法と供述分析
4 裁判員裁判下で「汚染されたデータ」に取り組むために
5 終わりに
第2章 中国における法心理学
1 困難克服の道(1979~1983年)
2 百花斉放(1984~1992年)
3 価値が明らかに(1993~2002年)
4 安定的発展(2003年~)
第3章 日中の法システムの特徴―刑事法を中心に―
1 日本における刑事裁判の進め方
2 中国の刑事手続きについて
第2部 中国の法心理学研究から
第4章 刑期終了者再犯リスクアセスメント尺度(RRAI)の研究
1 研究仮説
2 研究方法
3 調査結果
4 再犯リスク要因:まとめ
5 再犯予測表作成の原則と根拠
6 再犯予測得点表と等級区分表
7 まとめ
第5章 被疑者の自白に影響する要因とその対策に関する研究
1 研究目的
2 研究方法
3 研究結果
4 分析と討論
5 研究の結論と提言
第6章 同一性識別手続きと同一性識別結果の正確性の評価
1 証拠としての同一性識別結果
2 証拠収集方式としての同一性識別手続き
3 同一性識別の結論の正確性の評価
第7章 矯正治療心理学原論
1 矯正治療心理学設立の必要性
2 矯正治療心理学の研究領域の特殊性
3 矯正治療心理学の専門性格
第8章 捜査における犯罪プロファイリングの実際と価値
1 犯罪プロファイリングの意味
2 犯罪プロファイリングの内容
3 犯罪プロファイリングの基礎:行動資料
4 犯罪プロファイリングの根拠:心理ロジック
第3部 日本の法心理学研究から
第9章 足利事件とスキーマ・アプローチ
1 足利事件
2 足利事件における供述信用性評価
3 分析単位としての「動的な個別性」
4 供述生成スキーマ
5 スキーマ・アプローチの有効性と限界
第10章 虚偽自白の心理―無実の人がなぜ虚偽の自白に落ちるようなことが起こるのか―
1 虚偽自白の心理と「渦中の視点」
2 自白への転落過程:嘘の自白に落ちる心理
3 自白内容の展開過程:「犯人になる」心理
4 取調官の側の心理
5 「渦中の心理学」へ向けて
第11章 顔の再認記憶における同調
1 記憶の歪み研究の概要
2 記憶への社会的影響研究と現実世界で起こる社会的影響
3 現実世界における記憶の社会的影響
4 帝銀事件における顔の再認記憶への社会的影響研究
5 総合考察
6 帝銀事件と本研究との連関
第12章 刑務所から見える犯罪者と刑罰
1 はじめに
2 刑事司法の専門家による犯罪者像の違い
3 刑事司法の専門家が持つ偏見
4 刑罰の持つ逆進性
5 平均的受刑者像
6 人はなぜ犯罪者となるのか
7 受刑者の採用面接
8 増加する高齢受刑者と刑務所での死亡
9 刑罰は何も解決しない
10 社会的包摂かそれとも排除か
11 罰して終わりの日本の刑事司法
12 再犯防止というレトリック
第13章 意図せず虚偽事実が共同生成されること―幼児と大人のディスコミュニケーション―
1 問題
2 方法
3 結果と考察
4 総合討論
第4部 公開座談会
「法と心理学の実務と理論を巡る日中対話」
付録
「目撃供述・識別手続に関するガイドライン」
目次
第1部 日中の司法と法心理学―刑事司法を中心に(日本における「法と心理学会」の歴史と課題―供述心理学領域の研究・実践に焦点を当てて;中国における法心理学;日中の法システムの特徴―刑事法を中心に)
第2部 中国の法心理学研究から(刑期終了者再犯リスクアセスメント尺度(RRAI)の研究
被疑者の自白に影響する要因とその対策に関する研究
同一性識別手続きと同一性識別結果の正確性の評価
矯正治療心理学原論
捜査における犯罪プロファイリングの実際と価値)
第3部 日本の法心理学研究から(足利事件とスキーマ・アプローチ;虚偽自白の心理―無実の人がなぜ虚偽の自白に落ちるようなことが起こるのか;顔の再認記憶における同調;刑務所から見える犯罪者と刑罰;意図せず虚偽事実が共同生成されること―幼児と大人のディスコミュニケーション)
第4部 公開座談会「法と心理学の実務と理論を巡る日中対話」