出版社内容情報
街に大きな衝撃を与える大型再開発。その足元のデザインによって周辺に与えるプラス、マイナスが大きく変わる。街の価値を高めるために如何にデザインすべきか。ビルの足元での視線の通し方や止め方、アプローチと通り抜け、広場やロビー、空地や緑、店舗の構成、地形との取り合いなど、150余りの事例を訪ね320枚の写真で示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jackbdc
11
都内の高層ビル再開発現場150事例から、デザインの考え方を学べた。説明されて初めて気付くポイント多し。再開発はゼロから作るわけではないから、そこに住んでいた人、建物や歴史文化に敬意を払った上で、新たな建物の構築、地域の再構築を目指す行為であった。要はバランスが大事であり、それを担保する手法が科学的に整理されている、一部を説明してもらったと理解した。建築の世界では正解無い、又は複数あるというのが面白い。満足度が数値だけで測れない事に加えて、竣工時だけで無く未来に渡り評価され続けるという事実も興味深い。2023/04/01
ろべると
11
ビルが建ち並ぶ東京だが、本書ではパブリックとつながる地上部をどのようにデザインし機能させるかに注目している。単にスペースを取るのではなく、低層棟や列柱を置いたり、中空構造や吹き抜けで空間を作ったりして街とつながる「結界」を作り、地域との調和や交流を図っている。パリのように景観を統一しろとは言わないが、丸の内や八重洲などの地域ごとに、仕切っているデベロッパーがもう少し景観の統一を考えてくれないかなとも思う。今年80歳になる著者による多数の写真は労作だが、もう少しデザインの特色と機能が理解しやすいと良かった。2023/03/04
kaz
2
見慣れた場所だと何も感じなくなってしまっていたが、改めて多くのプロジェクトを眺めると、いろいろな工夫が見えてきて面白い。図書館の内容紹介は『街の価値を高めるために、その足元まわりを如何にデザインすべきか。ビルの足元の視線の通し方や止め方、アプローチと通り抜け、広場やロビー、店舗配置、緑や公園のあり方などを150余りの事例と320枚の写真で紹介』。 2023/07/09
しゅう
1
再開発で生まれた高層ビル事例を対象に、計画・設計のあり方を問い、その背景にある制度・社会の課題を指摘。容積を積み、床面積をできるだけ確保する事業が多い中、まちと調和した開発に向け提案している点に好感をもった。 中でも、ビルと公開空地との関係を沿道建物型と外周広場型と類型化し分析している点は参考になった。隣接する道路や周辺地域の特徴によらず、現制度では有効係数が比較的高い歩道状空地を設けるべく建物をセットバックした外周広場型が多い。再開発で生まれるビルや広場に親しみが感じられない要因のひとつだと感じた。2023/03/27