内容説明
長らく「まち」はお上がつくるものとされてきた。住民が参加し、主体となっても、その癖がぬけない。相変わらず道はまっすぐ、公共建築はカタい。その手に乗るな。町はやわらかく、人の暮らしを包み、たとえはかない命であっても輝く生の舞台でなければならない。あちこちで起こる対立やわずらわしさも太っ腹に受け止め、単なる「空間」ではない、居心地のよい「場所」をつくるための、これは画期的な提案と具体的な示唆の本である。
目次
『対話による建築・まち育て―参加と意味のデザイン』の活用にあたって
第1部 新しい公共性を拓く(コミュニティが生む「新しい公共」;中間的公共性としての地域コミュニティ―「地域のことは地域で決める」とはどういうことか;「私」からほとばしる公共性―「参加」による意味の変換)
第2部 あたたかい市民性と共振する(「まちの記憶」を形にすること―広島・猿楽町映像復元プロジェクト;成果主義におちいらない脱力的まちづくり;共に生きる意思の発露をつつむ環境計画へ―目的的計画学からこぼれた世界)
第3部 ひらかれた専門性を育む(トラブルをエネルギーにする―対立を対話に変える物語性のデザイン;参加のデザインによる設計方法論;人間と環境が一体となった生活空間計画;物語とプロセスの建築デザイン;かたちの意味とコンテクスト)