出版社内容情報
人の心を「家族」という集団の人間関係に焦点を当て読み解く。学会の30年以上の研究と実践を踏まえた考え方・技法を、一挙に紹介。人の心を「家族」という集団の人間関係に焦点を当て読み解く。学会の30年以上の研究と実践を踏まえた考え方・技法を、一挙に紹介。
はじめに
? 家族とは
1 社会としての家族?社会の内なる家族・家族の内なる社会
はじめに
社会の内なる家族
格差社会を象徴する家族機能の変化
個人から見た社会
おわりに
2 文化としての家族
「家族」観を特徴づける家族体験──困難な「家族」の定義
家族の多様性と変化可能性──変化が家族研究のターゲット
「家族アイデンティティ」 ──『誰があなたの家族ですか?』
社会の変化と連動する家族の変化 ──個人化の進行,凝集性と永続性の低下へ
人間家族の進化的基盤と高い知能による 多様な「家族」の創出
家族の変化の基盤は「家族文化」 ──生き方の問題
親(母)子中心の家族文化 ──夫は「父親になる」が「父親をする」から降りて「稼ぎ手」に
成人子と親との関係──パラサイトと親孝行の見直し
個人ごとに異なる家族文化──家族文化の差は夫婦間にも
家族文化の点検──最適性追求の過渡期
ワーク・ライフ・バランスは<ケアの女性化>からの脱皮が 必須──性を超えて経済的自立とケアの心と力を──ネリ
3 ジェンダーと家族
家制度から男女平等へ
働き方から見る性差
夫婦間格差
男性の心理
平等な性役割分担への道
4 感情と家族
愛し合っているのになぜ苦悩が生じるのか?
家族の中ではきだされる感情
家族の中でのみこまれる感情
家族の健康のために
5 日本語と家族
グローバル化と日本の家族
日本語の会話
現代家族の会話
?家族心理学の基礎理論
1 家族心理学とはなにか
21世紀の家族心理学
家族心理学の独自性
家族心理学の社会的役割
2 精神力動論
はじめに
精神力動について
自我機能から見た常態と病態
精神分析と家族──エディプス・コンプレックスと阿闍世コンプレックス
おわりに
3 システム論
システム理論,その基礎から発展
システム論とサイバネティックス
「家族」システムを用いた研究視点の特徴
システム理論の臨床的活用
システム理論/サイバネティックスから社会構成主義への転換
4 認知行動論
認知行動療法
不安障害
双極性障害
強迫性障害
パーキンソン病
慢性疼痛
薬物使用
おわりに
5 ナラティヴ論(物語理論)
ナラティヴの基本的な考え方
家族理解と支援へのナラティヴ
6 ネットワークと家族?インターネット時代の人間関係
ネットワークとは
インターネットによるコミュニケーション
自律性の増加──「縁」からインターネットへ
互酬性──情報から絆へ
希薄化する人間関係──SNSの危うさ
7 脳の発達とアタッチメント
はじめに
親の養育とアタッチメント
アタッチメントシステムを担う脳
虐待と脳の発達──アタッチメントの障がい
おわりに
?家族発達と援助
1 新婚期
新婚期夫婦の理想と現実
家族ライフサイクルから見た新婚期夫婦の課題と危機
夫婦間適応に影響を及ぼすさまざまな要因
2 乳幼児を育てる時期とは
養育のためのシステムづくり
親にとっての子ども──授かるから,つくるへ
母親・父親を取り巻く状況と子どもの養育
母親,父親にとっての仕事と家庭
養育のためのシステム作りをどう支えるか
3 学童期の子どもを育てる時期
はじめに
学童期の子どもとその家族の発達課題
現代(いまどき)の学童期の子どもが抱えやすい問題とその援助
学童期の子どもを育てる家族への援助
4 思春期・青年期の子どもを育てる時期
アイデンティティと関係性
思春期・青年期の子どもを持つ家族の発達的課題
青年期家族の問題
家族支援の実際
家族支援の重要性
5 中年期・老年期
子どもの巣立ちと夫婦関係
成人子と老親における役割逆転
老年期の家族と対人的ネットワーク
家族介護と看取りをめぐる問題
? 現代家族の特徴
1 多様化する家族
多様化の軸
生殖補助医療
同性婚の家族と課題
ステップ・ファミリーの現状と課題
2 ワーク・ライフ・バランスと家族
育児と少子化
介護
夫婦関係
3 子育て家族の支援
親子関係の成立
家族システムの中での子育て
親子関係の相互性
「気になる」子どもの保護者支援
4 子どものいない家庭と不妊問題
はじめに
子どものいない家庭の諸相
不妊と不妊治療(生殖医療)の現状
家族心理学的視点から不妊問題を理解する
まとめ──子どものいない家庭を理解するということ
5 障がいを持つ子どもと家族
はじめに
家族のライフサイクルとストレス
きょうだいへの影響
虐待の問題
家族機能の回復や成長に向けた援助
今後の方向性
6 児童虐待
はじめに
児童虐待とは
しつけと虐待の違い
対応件数にみる特徴
要因
歴史的経緯
対応と介入
課題
7 DVについて
DVとは
DVの歴史
DVの現状
被害後の行動
DV支援の問題点
被害者への影響と回復
DV防止に役立つ視点
8 離婚・再婚?親が離婚した子どもの支援も含めて
離婚の現状とその背景
子どもにとっての親の離婚
再婚の状況とその課題
離婚や再婚を経験する子ども・家族に向けた支援
9 家族と貧困
はじめに──家族と貧困
貧困とは──絶対的貧困と相対的貧困
見えづらい日本の貧困 ──子ども・母子家庭・老人の高い相対的貧困率
貧困の世代間連鎖と悪循環
貧困の連鎖の悪循環を断ち切るための施策
10 災害と家族
はじめに
理論的枠組み
家族としての被災経験
家族支援モデル
今後の課題
11 非行・犯罪と家族
はじめに
家庭内暴力事例(再構成)
家庭内暴力のメカニズム(本事例)
夫婦間の暴力
児童虐待(ネグレクトと身体的暴力)
いじめ,仲間はずれ
衝動統制の問題
欲求の充足と情緒の安定
親密な関係
12 高齢者虐待
はじめに
事例から見る高齢者虐待
模擬事例から高齢者虐待の内容を考える
高齢者虐待の現状と高齢者虐待防止法
心理職に求められる高齢者虐待防止支援
? 家族療法の理論と技法
1 家族療法の歴史
家族療法の誕生──伝統的人間観の挑戦
家族研究から家族療法へ──研究成果と実践の相互作用
現代の家族療法──わが国における発展
2 家族療法の過程
基礎技法 家族面接の基本
はじめに
家族療法の理論
基礎技法 家族面接の基本
家族面接の過程
家族療法の技法
3 構造的モデル
はじめに
家族の構造と変化
問題
境界
パワー
ケース検討と介入プラン
4 多世代モデル(文脈療法)
家族療法における多世代モデル
文脈療法とは
文脈療法における4つの次元
文脈療法における家族の機能
多方向への肩入れ(multidirected partiality)
5 コミュニケーションモデル
コミュニケーションモデルの主要概念
おわりに
6 解決志向ブリーフセラピー(Solution Focused Brief Therapy)?解決に光を当てる
概略:SFBTとは
歴史
SFBTの基本
ゴールについて
例外を探すということ
SFBTにおける「質問」
コンプリメント
SFBTのセラピストのスタンス
7 心理教育的アプローチ
心理教育的アプローチとは
心理教育的アプローチの歴史的背景
心理教育的アプローチの実際
まとめと展望
8 ナラティヴ・アプローチ
ナラティヴと心理療法
さまざまな「ナラティヴ・アプローチ」
ポストモダン・セラピーとしてのナラティヴ・アプローチ
9 統合的アプローチ
はじめに
統合的エコシステミック家族療法の考え方
統合的問題中心療法 (IPCT:Integrative Problem-Centered Therapy)
おわりに
? 個別領域における家族支援
1 保育現場での乳幼児と家族の支援
支援の対象
保育現場での相談構造の特徴
保育相談支援
コンサルテーションの方法
親子関係の修復につながるフィードバックのあり方
2 児童生徒に対する学校臨床における家族支援
児童生徒に対する学校臨床──スクールカウンセラーの導入
児童生徒への支援としての保護者面接
保護者の不安に対する家族療法的アプローチ
学校臨床における家族支援の実際
3 大学での学生相談における家族支援
これまでの学生相談の家族とのかかわりと位置づけ
学生・家族の変化と現在の大学事情
学生支援の視点の転換──家族との積極的な関与へ
学生相談に家族心理学・家族療法的視点から提供されるもの
現在の学生相談実践の課題と家族支援の交点
4 社会福祉領域における家族援助
子ども家庭福祉領域における家族援助の現状
子ども家庭福祉領域における家族援助の課題
労働者のストレスと産業メンタルヘルスケア
5 産業領域における家族支援
産業メンタルヘルスにおける3つの予防と4つのケア
職場復帰支援
システムにおける支援者の機能役割
システムズアプローチの活用
産業メンタルヘルスケアにおける家族支援の重要性
6 医療現場における家族支援?他職種との連携から
「見立て」にかかわる家族関係理解
心理アセスメントに表れる家族関係
医療機関における家族とのかかわり
医療現場での他職種との連携
7 非行少年に対する家族支援
少年非行をどのように理解するか
非行少年の家族の特質
家族支援の基本
おわりに──逆説には逆説を
8 犯罪者への支援とその家族
法改正による取り組みの変化
「指導プログラム」による支援
家族・社会との「つながり」という支援
高齢犯罪者への支援
加害者支援の課題
加害者家族への支援
9 非行少年・犯罪者の社会復帰と家族
非行・犯罪の促進又は抑止要因としての家族
非行・犯罪の抑止要因としての 家族への実践的なはたらきかけ
変貌する家族と今後の日本における少年非行・犯罪への対応のあり方
10 社会的養護
社会的養護のシステム
児童福祉施設の種類と家族支援
社会的養護の家族支援
? 法と倫理
1 恋愛と結婚をめぐる法と倫理?婚姻,DV防止法,ストーカー規制法,離婚,夫婦別姓,事実婚,同性婚,国際結婚など
婚姻
夫婦別姓
事実婚(内縁)
同性婚
離婚
DV防止法
ストーカー規制法
国際結婚
2 出産と家族をめぐる法と倫理
はじめに
法における「出産」(出生)
非配偶者間人工生殖
性別の取扱いの変更審判を受けた者の場合
3 児童とその家族をめぐる法と倫理
はじめに──倫理について
守秘義務について
児童虐待防止法の変遷
子どもの最善の利益
守秘義務を超える正当な理由
通告義務
早期発見努力の義務
要保護児童対策地域協議会
児童虐待への対応──まとめ
発達障害──ライフステージに応じた支援
4 少年非行といじめをめぐる法と倫理
少年非行の時代的推移
攻撃性の質的変容と現代型いじめ
いじめとは──いじめ防止対策推進法
学校における法的アプローチと臨床的アプローチの協働
5 介護と家族をめぐる法と倫理?成年後見制度,介護保険制度,高齢者虐待,インフォームド・コンセント,年金など
成年後見制度
介護保険制度
高齢者虐待
インフォームド・コンセント
年金
6 死と家族をめぐる法と倫理
はじめに
法における「死」
尊厳死・安楽死
相続・遺言
7 社会的弱者とその家族をめぐる法?貧困問題を中心に
はじめに
貧困の概念について
貧困をめぐる法──生活保護制度の概要
生活保護制度が家族との関係で問題となる場面
おわりに
? 家族研究法
1 家族アセスメント
はじめに
家族アセスメントの概要
まとめと課題
2 調査研究
横断調査──「他の家族にも当てはまるのか?」 に答える手法
縦断調査──「別の時期にも当てはまるのか?」 に答える手法
実験的介入──「異なった条件にも当てはまるのか?」 に答える手法
意義づけ──研究質問が価値を持つために
3 質的研究
はじめに
質的研究とは
質的研究におけるデータ収集から分析,テクスト化まで
おわりに
4 家族療法の理論・技法に関する研究
ヴィクトリア大学グループによるコミュニケーション研究
2者関係のコミュニケーション研究
3者関係以上のコミュニケーション研究
おわりに
5 家族療法の事例研究
はじめに
事例研究の意義
家族療法の事例研究
おわりに
引用・参考文献
索引
執筆者一覧
日本家族心理学会[ニホンカゾクシンリガッカイ]
編集
目次
1 家族とは
2 家族心理学の基礎理論
3 家族発達と援助
4 現代家族の特徴
5 家族療法の理論と技法
6 個別領域における家族支援
7 法と倫理
8 家族研究法
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