出版社内容情報
本書では,身の回りやマスコミ,政治の世界で飛び交う,数字をともなった言説について,統計学の立場からその正否を仕分けます.
内容説明
平均年収、出産予定日、少年犯罪率、漁獲量、経済成長率、FIFAランキング…現代社会にあふれる数字のかずかず。説得力がありそうで、ウッカリごまかされていませんか?不安な時代を乗り切るための、統計学の賢い知恵。
目次
大きさ―一人あたりの大きさにする
集計する―茹でてつぶした豆料理
偶然―存在しないトラ
平均―白い虹
目標―ゾウの全体の姿
リスク―一人あたりの大きさにする(その二)
サンプリング―消防ホースから水を飲む
データ―未知のものを知る
衝撃的な数字―打ち損ないのティーショット
比較―ずれに気をつける
相関関係―もう一度よく考える
著者等紹介
ブラストランド,M.[ブラストランド,M.][Blastland,Michael]
作家、ブロードキャスター。ラジオ番組『More or Less』の生みの親
ディルノット,A.[ディルノット,A.][Dilnot,Andrew]
BBCラジオ4で『More or Less』の司会を務めた。オックスフォード大学聖ヒュー・カレッジ学長、イギリス財政研究所の前所長
野津智子[ノズトモコ]
翻訳家。獨協大学外国語学部フランス語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
12
「ある場所でがん患者が連続的に発生する事象」を「米粒がカーペットに散らばる偶然性」で説明しているのにはビックリしました。「米粒が床に散らばる偶然性」と「がん患者が局所的に集中して発生する事象」の違いは、「偶然性を証明することが可能かどうか」ということです。「米粒が床に散らばる偶然性」は、数百回の実験で証明可能です。せいぜい数日しかかかりません。ところが、「がん患者が局所的に集中して発生する事象」が偶然かどうかを証明するのは、十年や二十年程度では到底足りません。 著者は「時間の概念」を無視しています。2011/12/07
壱萬参仟縁
11
面倒で煩雑な数式が出てこない、縦書きの本。したがって、文系の人間でも批判的に統計数字を把握していく必要性を理解できる本である。平均値というのは、たしかで正確なものではなく、純理論的な本質をつかんでもおらず、古典的な抽象概念である(84頁)。知りたいのは特定グループの典型、標準が何かということで平均値はそのための一指標に過ぎない(86頁)。平均からのズレを意識する当事者がそこにはいる。相関係数は関わりの強さを調べる指標だが、因果関係と混同しないようにしたい(217頁)。一つの考える材料。絶対化できない統計。2013/04/16
ばっか殿すん
9
数字は、説得力はあるがごまかしがおおく、その役割は恐ろしくあいまいになっている。か。数字を通してものごとを正しく見るために、その数字が表す意味を考えなければいけないってことですね。2012/11/28
がっち
3
批判的に数字を捉える必要がある。その中で、統計を知る、そして考えるというのは必要不可欠である。統計はウソをつくと同じような本なので、これを読むのもよし、あっちを読むのをよしだとおもう。2013/05/23
トマト・デラックス
2
イギリスを舞台にした統計に関する一般向けの本。この類の良書を多く読んでいるせいか、訳がお粗末で読むに堪えなかった。訳者自身、統計学のことを理解していないのではないかと感じさせられる文章であった。不適切な解釈(?と思った箇所)が多々あり、私がゼミで使う洋書をとりあえず直訳したような文章を読んでいるかのようであった。数字の認識についての記述は興味深く、面白い例が多く載せられているので文章さえ気にしなければ一読する価値があると思う。2013/05/28