出版社内容情報
道具を作り,ピカソを見分け,バッハを好む.小さくても高機能な鳥脳の秘密から心に迫る知的探求の書.
内容説明
鳥脳は小さいから低機能、なんて大きな誤解。道具をつくり、ピカソとモネの絵を見分け、バッハとシェーンベルクを聴き分け、自己像を認知でき、論理的な思考をし、言語だって理解できる。そんな鳥脳に標準装備の能力と、訓練によって獲得できる能力とは何か。かれらの“心”にどこまで迫れるか。さまざまなオモシロ実験から明らかとなる、小さくても高機能な鳥脳の魅力をご堪能あれ。
目次
鳥―絶滅しなかった恐竜
鳥脳とはなにか
鳥脳はものを憶えられないか
道具をつくる鳥脳
鳥脳のナヴィゲーション・システム
鳥脳に「美」を教える
鳥脳に「音楽」を教える
鳥脳に「論理」を教える
鳥脳に「言語」を教える
鳥脳に「自己」を教える
著者等紹介
渡辺茂[ワタナベシゲル]
1948年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻博士課程修了。文学博士(心理学)。現在、慶応義塾大学文学部人間関係学系教授。専門は比較認知神経科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆぎ🖼️
20
心と呼ばれる高次脳機能が、脊椎動物-哺乳類-霊長類-ヒトでしか進化しなかったと考える研究者は少なくなった。像もイルカや鯨も歌うことができ、最近の研究ではネズミも歌うことがあるという。鳥は長い進化の中で体系を分けながら、瞬時に外界の対象を認知し、適切な運動を展開しながらも複雑な歌やダンス、ニワシドリのように求愛のためだけに作る家があったりと多彩な中脳を発達させたようだ。まだまだ分からないことばかり。 2020/09/26
たまご
16
自分のことを「とりあたま」なんて言ったら,鳥類に失礼だなあということがわかりました. 鳥類を使った,動物行動心理学,といえるのかな? 鳥もみんながみんな実験できるわけではなくて,個体差とか,種類によって実験向きな鳥がいそうです.種類によっての性格の差とかも,ちょっと知りたかったな. 作者の紹介写真が,鳥と仲良しそうで羨ましいです♬2018/09/07
テツ
9
面白かった。動物学者ではなく心理学者が違う視点から鳥の能力を説明してくれる。目で世界を認識しているという点で鳩などは人間と同じなので心理学関係の実験で使用される事があるらしいということは知っていたけれど、絵画を区別したり音楽を区別したりしながら更にそれらについて好みまであるというのは初めて知った。あの小さな脳味噌で凄いなあ……。論理的な思考を行っているかもしれないというのも驚いた。あんまり知りすぎると鶏肉を食べるのに躊躇してしまいそう。2015/04/20
木ハムしっぽ
6
心理学者の著者は、心の発生起源を探る手段として鳥の脳機能を調べているという。心の起源に何故、鳥なのか?進化の系統樹からみて生き残った恐竜と言われる鳥の脳は、ヒトと比べて大きく構造が異なる。その鳥の脳機能を調べることでヒトの心の起源に迫ろうしている。その発想がユニークで私のツボに嵌まりました。紹介されてる実験の数々がまた面白かった。印象的だったのは、ハトはモネとピカソを見分けるだけでなく、それぞれをモザイクにしてバラバラにしたピースでも弁別するらしい。ヒトには及ばない脳機能を鳥は持っている。目から鱗でした。2022/05/04
しゅー
5
うーん。実験の内容などが充実してました。難しかったー2016/11/18