内容説明
渡辺村、西浜、浪速と名前をかえながら歴史を歩んできた浪速部落。差別をうけながらも生き抜いてきた人々の姿を描き、ひとつの部落の歴史から説き明かす部落差別と解放運動の真実。
目次
渡辺村の成り立ち
「役人村」の由来
渡辺村の皮革生産
幕末の渡辺村
「解放令」と西浜部落
西浜部落における自由民権運動
人口流入と西浜部落の拡大
西浜部落における皮革産業と労働
西浜部落における生活と教育
西浜部落における部落改善・融和運動〔ほか〕
感想・レビュー
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ぷほは
3
城下町整備により強制移動させられたキヨメ集団は、江戸期を通して皮革産業の場で生きつつ、差別の対象とされ続けた。幕末以降、差別への抵抗は中江兆民との接触や在日コリアン、都市下層民等の多様なアクターに関わりながら改善運動・融和運動・水平運動・要求闘争・行政施策・解放運動、福祉のまちづくり等々へと変遷していった。本書は1997年に刊行、その後の社会の差別はネットを通じたデマ拡散やヘイトスピーチ/ヘイトクライムとしてその根深さを強めている。弱体化した運動に再生を、クレームとして処理される要求に共感・理解・承認を。2022/01/23