内容説明
日本語から見た日本人は、個としての自己意識が強く、だからこそ逆に、対人関係に敏感となる。日本人にとって、対人関係は建前として重視しなければならないが、その陰には、本音としての強い自己意識がある。言語学の方法を用いて、この逆説的二面性に日本人の表現構造の本質があることを示すとともに、英語などに比べ、日本語の強い自己志向的側面を浮き彫りにする。
目次
第1章 日本人は「集団主義的」か―言語学からの批判的検討
第2章 代名詞の不使用と自己志向性
第3章 日本語における独り言
第4章 伝聞と情報のなわ張り
第5章 親密さと敬い
第6章 言語使用の形態と公的性の度合い
著者等紹介
廣瀬幸生[ヒロセユキオ]
1984年、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科単位取得退学。文学博士。現在、筑波大学教授
長谷川葉子[ハセガワヨウコ]
1992年、カリフォルニア大学バークレー校言語学部博士課程修了。Ph.D.現在、カリフォルニア大学バークレー校准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
の箱
0
「日本語には主語がないから日本人には自我がない」や「日本語はウチとソトを分けウチに同化するから自我がない」的な「集団主義的な日本人」論の俗説に対し、日本語は「絶対的自己」の表現が無標でされる点が特異であり、むしろ逆に相互交換的である「公的な主体」(I=You)が日本語では有標表現になるという方向の本(乱暴に言えば日本語は「自己中」)。3章は独り言。4章は伝聞の伝達。5章は敬語。6章は心の中の声。とそれぞれ日本語の「主体性」について本当に興味深い分析が英語との比較からなされていた。2019/06/27