出版社内容情報
文化元年(一八〇四年)、如月。清明の日にふたりの女児が産声を上げる。
ひとりは蔵源美津。
蔵源家は黒兼藩で代々藩医を勤める家系で、祖父の教随は秘密裡に腑分けを行い、父の恵明は藩医学校「青雲館」を担う立場であった。
今ひとりは高越暁。
備前刀を手掛ける刀鍛冶の一族で、祖母の高越?は「女忠光」の異名を取っていた。
長じて、美津は医学、暁は鍛刀を志すことになる。
猪突猛進で焔にも似た美津、常に冷静で氷に喩えられる暁、女には困難とされる道を選んだふたりの人生が、十九の初夏、思いがけず江戸で交錯する。
志を胸に人生を切り拓いていく者たちの群像劇、いよいよ開幕。
【目次】
1 ~ 1件/全1件
- 評価
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
213
最初の腑分けのシーンで、個人的に描写がグロく感じて、読むのはしんどいかなと思ったけど、そう思ったのは、このシーンだけ。時は江戸時代、医者の一族で医学を志す美津、刀鍛冶の一族で鍛刀を志す暁(ぎょう)。女性には困難とされる道を選んだ二人の人生。二人の主人公を、髙田郁が得意の艱難辛苦を絡めて、どう物語を味つけしていくのか楽しみ。そして、つる家ってあのつる家なのか。おいおい、こいつぁいけねぇ、いけねぇよう、もしあのつる家なら、種市も登場するのか。もしそうなら絶対に面白いこと間違いなしだ。2025/11/16
いつでも母さん
167
もう~いいところで続くっ!またまた髙田郁さんにのめり込むに決まってるじゃないですか!「どうして髙田さんはこんなに面白いのが書けるんだろう」そんな私の心の声がだだ漏れの新しいシリーズの始まり。髙田さんファンの期待を裏切らない初回、志を叶える姿を記す・・えぇえぇ、そうでしょうとも!美津と暁、同じ日に生まれた二人の女性の出会いまでの今回、特に美津のバックボーンが興味深く、名付け親の言葉が回収される日が楽しみでならない。暁にもまだまだ沢山の山があるだろう。作者が言う航路図のない船旅、しっかり乗っていきますとも。 2025/10/31
タイ子
143
新しい物語は時代の中で自分の道を信念を持ってひたすら進んで行こうとする2人の女性の物語。1人は医師の家系に生まれた美津。女医師になるのは困難な時代に美津は藩医学校では首席の成績。だが、周りは彼女のことをある特別な目で見ていた。片や、岡山備前の国から刀鍛冶になりたいために江戸に出てきて修行に勤しむ暁(ぎょう)。彼女の祖母は名の知れた刀鍛冶だけに背負うものも大きく、それゆえに目指す心も一途。同じ日に産まれた2人の女性の運命がどう動いていくのか、そしてまだ語られない謎の部分もどう解明されていくのか楽しみな作品。2025/10/10
あすなろ@no book, no life.
125
高田氏新シリーズ初巻は、いきなり腑分けの場面から。戸惑いながらも読み進めてしまう。ただ、考えてみればここから長い高田氏ならではのシリーズお付き合いが始まるのであるから、2人の魅力的な少女達の背景はとくと読まねばならない。少し馴染み惹かれ始めたというところにて彼女達が出逢うのである。この時代に彼女らが目指す道程を描いた本巻だけでも充分読み応えが結果あるのであるが、さてここからどういう道程をダブル主人公にて読者に見せて頂けるのか、とても愉しみなのである。これまでのシリーズとは異なり、航路のない船旅だとのこと。2025/10/18
KAZOO
119
高田さんは以前から読んできて「みおつくし料理帖」「あきない世傳」シリーズも終わったと思いましたがこの新しいシリーズが始まったようです。帯には著者の「ライフワーク」となるシリーズという言葉あり、確かに江戸時代における同じ年に生まれた女性二人が主人公となるようです。当時の職業の中で女性がほとんどいなかった、医者と刀鍛冶になろうという女性の物語で長くなりそうですが楽しみです。2025/12/21
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