出版社内容情報
同棲中であるミワの家は、玄関のドアを開けると二つのドアが現れる。
彼は帰宅すると、ミワのいるリビングに通じるドアではなく、先にもう一方のドアを開くという……(「どちらのドアが先?」)。
三橋葉子は、母の死を機に、叔父が暮らしていた家に移り住んだ。
葉子はその家に住むにあたり、窓がなくドアも見つけにくい小部屋をつくった……(「仕込み部屋」)。
単行本時、話題沸騰した唯一無二の間取り小説、待望の文庫化。
(解説・春日武彦)
内容説明
抑えきれない欲望、ほの暗い秘密、消えない記憶。間取りが、心身と共鳴する。川に挟まれた船のような家、ふたごが住む左右対称の部屋、ドアの先に2つの扉が現れる玄関…個性的な間取り図から立ち上る、密やかで妖しい13の物語。スリリング&珠玉の作品集。
著者等紹介
大竹昭子[オオタケアキコ]
1950年東京生まれ。文筆家。小説、エッセイ、ノンフィクション、写真評論、書評、映画評など、ジャンルを横断して執筆。自ら企画したトークと朗読イベント〈カタリココ〉の開催をきっかけに、「カタリココ文庫」の刊行をはじめ、対談・随想などを文庫サイズの本として出版している。散歩をこよなく愛すとともに、無類の間取り好きである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
間取り図がある小説といえばミステリやホラー。よってこの手の本を目の前にするとどうしても思考がそちらに引き摺られがちだけど、本書は一風変わった家に住む普通の人達の物語であった。作中奇妙な出来事やショッキングな事が起きるわけではなく淡々としたペースで進んでいくが、読んでいるとそのリズムがなんとも心地よい事に気付かされる。三角形の家の先端、ガラス張りの部屋とか実際住むには不便だろうけど心惹かれるものがあるなあ。「浴室と柿の木」等は谷崎が上手い事小道具に使われていて膝を打ったし。一種独特な読み心地がする本でした。2025/10/31
cocomatsumoon
1
間取りとそれにまつわるお話。 こんな部屋に住む人ならこんな風に暮らしているかもな……とも思えたし、個人的に好きな部屋もあれば、怖い部屋もあった。 特にさわやかな感じもなく、妙にリアリティのある各間取りの主人公達。 間取りが載っていることで、想像しやすくて面白かった。2025/05/31
Xi
0
間取りと妄想。もうタイトルだけでぐっとくるじゃないか。ページをめくれば間取りからはじまる物語。ツーバイフォーのありきたりではない間取り。住みやすそうだったり、住みにくそうだったり、憧れだったり、気が狂いそうになったり。変わった家には変わった人が住むは言い過ぎだろうか。個性的な家には個性的な人が住むぐらいだったらゆるされるだろうか。とはいえ、一冊読み終えるとお腹いっぱいになってしまう。刺激は適量に。だ。2025/06/23




