出版社内容情報
シリーズを彩ったさまざまな登場人物たちのうち、四人を各編の主役に据えた短編集。
五鈴屋を出奔した惣次が、如何にして井筒屋三代目保晴となったのかを描いた「風を抱く」。
生真面目な佐助の、恋の今昔に纏わる「はた結び」。
老いを自覚し、どう生きるか悩むお竹の「百代の過客」。
あのひとに対する、賢輔の長きに亘る秘めた想いの行方を描く「契り橋」。
商い一筋、ひたむきに懸命に生きてきたひとびとの、切なくとも幸せに至る物語の開幕。
まずは上巻の登場です!
著者等紹介
〓田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする。2013年『銀二貫』で第1回大阪ほんま本大賞を受賞し、2022年には第10回となる同賞の大賞を『ふるさと銀河線―軌道春秋―』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
458
こいつはいけねえ。いけねえよ~。(あれ、どこかで聞いたような…)早く下巻を読みたくなるよ~。惣治、佐助、お竹、賢輔。おまけというかこっそり大七。惣ぼん、井筒屋二代目になるまで、そんなことがあったのか。切ないね。佐助の章は、最後がコミカルで良かったなあ。佐助どん、焦れったかったけど良かった。お竹と大七、人には必ず人生の岐路というのがあるもんだね。選んだ道、後悔しないようにね。この二人なら大丈夫か。そして、賢助。様々な障害を越えて、商いの道を突き進んでほしい。さて、下巻はどうなることやら。たのしみだね。2023/09/14
ひさか
366
2023年8月ハルキ文庫刊。書き下ろし。番外編上巻。通算14作目。風を抱く、はた結び、百代の過客、契り橋、の惣次、佐助、お竹、賢輔、を主人公にした4つの連作短編。本編では描かれなかった話はとても興味深く、面白い。菊栄さんはさすがに幸のことを良くわかっているなぁと感心してしまいます。これを読むと、本編は早く終わり過ぎたんじゃないかと思います。2024/04/30
修一朗
363
五十鈴屋とその主人幸を取り巻く人たちのお話。惣次が五鈴屋を飛び出して井筒屋三代目になったいきさつが明らかになった。佐助のご縁、お竹の今後、大七の医者への道,賢輔の五鈴屋9代目継承と,五十鈴屋のその後がわかってよかった。本編同様の商売話として,木綿織物の振興についても少し。もう一冊あるのね,気になっている人がまだいる。あの人とあの人も登場するだろうね。続けて下巻へ。 2024/08/17
のり
350
五鈴屋と同じ時をかけて、知恵を絞り「井筒屋三代目保晴」として、口下手な惣次が身を立てた。誰よりも家族を想う心根、だからこそ求められた男。「佐助」は五鈴屋江戸本店の屋台骨を支えた支配人。初恋を胸に秘め掴んだ幸せ。「お竹」も皆から頼りにされる太玉の小頭役。引き際を熟慮するが、まだまだ尻を叩き続けて欲しい。「賢輔」の九代目襲名も間近になり、これから慌ただしく時が過ぎるだろう。主従の団結ともたらす縁を共有しながら…五鈴屋 あっ晴れ。2023/10/23
ゴルフ72
319
あきない世傳スピンオフが4編詰まっています。惣次が保晴になるまで、佐助の恋、お竹さんは老いを感じながらも・・・そして賢輔は幸と?いずれにしてもう一巻あるんですよね高田先生!楽しみに待ちます。2023/09/01