出版社内容情報
あなたに、いつか「恩返し」をしたかった──「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」わたしは恋人に人生初のおねだりをした。
「やっと、自分から欲しいものを言ってくれた」と喜んでくれた彼は、誕生日の前日、待ち合わせ場所に現れなかった……(「サファイア」)。
人間の不思議で切ない出逢いと別れを、己の罪悪と愛と希望を描いた珠玉の物語。
表題作他「真珠」「ルビー」「ダイヤモンド」「猫目石」「ムーンストーン」「ガーネット」全七篇。
内容説明
美しい宝石に秘められた深い謎と人々の祈り。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
114
宝石にまつわる人間模様を描いた短編集。人間の心の光と闇とのバランスが絶妙で、極端な設定にもリアリティもあり、流石の湊かなえ作品。筆者は巧みな筆致で人間社会の闇に読者を誘うので、その作品達は心にずしんとくるものが多くて日常のお供に軽い気持ちで手に取ることはしにくいのだが(全力で褒めています)、短編集は仕事の合間にも読みやすく、次が気になってわくわくひやひやした。ありそうでない設定に、自分ならどうするかを考えながら読んだので、「小説を通して自分の人生では感じない感情を知る」という学びをしたなあと満足。2024/12/28
まさきち
104
宝石の名を冠した7つの話を集めた一冊。それぞれ結末後に希望が見えるもの、背筋がゾワゾワっとするものなど風合いは異なるものの、全作を通じて湊さん独特の読後感を味あわせてもらえました。2024/06/18
bookkeeper
52
初読。助けた雀が恩返しにと報告する婚約者の姿は俺にとって予想外のものに「ダイヤモンド」。いじめから救ってくれた同級生。2人の人生が再び交錯する「ムーンストーン」。生まれて初めてのおねだりが心を許した交際相手の運命を変えてしまう「サファイア」。 宝石の名を冠した7つのお話を収めた短編集。不思議なもの、後味の良いもの・悪いものなど、様々な煌めき。最後の2篇、サファイア〜ガーネットは皮肉で残酷な運命と、人の繋がりがもたらす仄かな救いに心が暖められます。湊かなえさんのイヤミスばかりではない力量が満喫できます。2024/10/27
カブ
48
7つの宝石の7編のお話。表題作「サファイア」も良かったが「ガーネット」はサファイアから続く物語で奥行きが感じられる好きな話。湊かなえ氏と言うとイヤミスと思われることが多いけれど、この作品はちょっとちがっていて楽しめた。2022/10/26
ほのぼの
46
タヌキ顔のおばさんが子ども用歯磨き粉への愛を熱く語りまくる話から始まった。「何を読まされてるんだ…」と思いつつ、面白くて一気読み。湊かなえさんの作品に対して抱いていたイメージが激変した。短編集だったからかな?7篇すべて違ったテイストで楽しかった。苦手意識のあった作家さんだったけど、好き嫌いせずに読んでみるもんだ、と思った。2024/05/04