出版社内容情報
深川に住む紅屋の女将・牡丹から、煙草入れを縫箔師の咲に、
煙管と金具を錺師の修次にそれぞれ作ってほしいとの依頼が来た。
同じ小間物を扱い、切磋琢磨しながら互いを高め合う職人同士の二人は、共に仕事をすることに。
一方で弟の太一が今度の藪入りの際に、祝言を挙げることになっており、咲は温かい家族の幸せを感じていた。
そんな折、咲の後をつける不審な男がいると、しろとましろが教えてくれるが──。
傑作人情時代小説シリーズ第四巻。
内容説明
深川に住む紅屋の女将・牡丹から、煙草入れを縫箔師の咲に、煙管と金具を錺師の修次にそれぞれ作ってほしいとの依頼が来た。同じ小間物を扱い、切磋琢磨しながら互いを高め合う職人同士の二人は、共に仕事をすることに。一方で弟の太一が今度の藪入りの際に、祝言を挙げることになっており、咲は温かい家族の幸せを感じていた。そんな折、咲の後をつける不審な男がいると、しろとましろが教えてくれるが―。傑作人情時代小説シリーズ第四巻。
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ。ミネソタ大学卒業。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年、「妖国の剣士」で第四回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
92
シリーズものを色々読んでいると他作品とごっちゃになる場合があるけど、インパクトのある登場人物がいるとすぐその小説に入ることができる。本作で言えば私の中では「しろとましろ」かな。稲荷神社の神狐の化身かもと思われる可愛い2人の子供。咲と修次の前に現れては心をほぐしてくれる。今回は咲の弟・太一の結婚で姉としては肩の荷が下りたが一抹の寂しさが。油問屋の理代の跡継ぎ問題と恋の行方など咲の周囲で起こる様々な人生模様。彼らの幸せを願って咲が作る縫箔の小物を一度見てみたいと毎回思いながら今回も読了のシリーズ第4弾。2022/02/24
真理そら
76
今回はしろとましろが修次の口調をまねっこしてるのがかわいい。しろとましろには修次がかっこよく見えるんだなあと思ってニヤニヤしてしまった。二人で組んでお仕事したりしてるので案外あっさり結婚したりするかも。飛燕の簪を復習してから読んだ方がより感動できたかも、と少し後悔した。2022/02/16
天の川
56
神狐の化身?の幼いしろとましろが本当に可愛くて、二人が出るたびに頬が緩んでしまう♡直に接して、二人に懐かれている咲と修次は尚更だろうなぁと♪錺師の修次が自分に惚れているのに気づきながら、縫箔師としてのキャリアの研鑽が優先の中年増の咲だけれど、三編それぞれに登場する女性達の生き方に接して、以前ほど頑なではなくなっているようなラスト。春は近いのかもしれない…。2022/04/12
はにこ
49
前のお話で苦界に売られていった娘が居たなぁと思い出す。その姉弟がそれぞれで生きてきたけど、良い居場所を見つけられて良かった。前作でも若い頃に好きだった人が歳をとってから再び現れる。素敵な再会だな。咲と修次の距離はつかず離れずだけでヤキモキしちゃうけど、それじゃ周りのお節介と一緒かと自戒。2024/10/04
ひさか
47
2022年2月ハルキ文庫刊。書き下ろし。シリーズ4作め。のちの藪入り、花梨が実る頃、獅子の寝床、の3つの連作短編。どうということもない江戸の人々の出来事が、咲と修次の職人仕事を通じて語られ、展開は地味だが、しろとましろの扱いだけが、ファンタジーぽくって、面白い。2022/06/29