出版社内容情報
下谷にある〈出直し神社〉には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。
縁起の良い〈たね銭〉を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。
その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。
ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。
さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、
おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして──。
読み応え抜群の時代小説。(解説・吉田伸子)
内容説明
下谷にある“出直し神社”には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。縁起の良い“たね銭”を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして―。読み応え抜群の時代小説。
著者等紹介
櫻部由美子[サクラベユミコ]
大阪府大阪市生まれ。銀行員、鍼灸師などを経て、2015年に『シンデレラの告白』で第7回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
94
初読み作家さん。今でいう無職でハローワーク巡り中、今夜の寝る場所にも困る主人公のおけい。頭上で鳴く鳥に導かれ神社に着いた。<うしろ戸の婆>が守る出直し神社。この婆、いや老女が不思議な雰囲気を醸し出し商売繁盛を願う者に銭を貸す。美人女将に貸した銭と共に、おけいも貸し出す婆。おけいの初仕事は蔵でのお茶屋の手伝い。茶菓子、懐石料理で繁盛するも、先祖からのある因縁が蔵の中で今解き放ちを待っている。人との縁は不思議なもの。今時の要素もありながら、読者が飽きないよう予想外の展開を描く後半は楽しめる。続編も読まないと。2022/10/12
ゆのん
74
小さな背丈に離れた目。決して器量良しではないおけい。訳あって幼い頃に里子にだされ、親も家も仕事もない。そんなおけいを閑古鳥が導いたのは貧乏神を祀る『出直し神社』だった。これだけのあらすじでもかなり心惹かれる。久しぶりの時代小説だったがとても読みやすかった。主人公のおけいは素直で働き者で好感を持てるし、見た目も可愛く美味しそうな和菓子が沢山登場するのも魅力。ちょっとしたミステリー感とホラー感もあったが、ラストまで読むと優しさの溢れた少し切ない物語だった。2021/03/16
Kurara
63
★4 よかった!貧乏神に見初められた不幸なおけいちゃん。でもお茶屋を立て直すことに大活躍 シリーズものなのかな?この先ももちろん読みたいです#NetGalleyJP。【21.33】2021/03/24
真理そら
62
同じ作者の『ひゃくめ』と同様ヒロインは美しくない女の子でファンタジー風味のある物語。16歳のおけいはカラスに似た閑古鳥の閑九郎に導かれて貧乏神を祀る「出直し神社」にたどり着き「うしろ戸の婆」に出会ってアシスタント的な役目に就く。蔵を改装した茶屋の経営がうまくいかなくて相談に訪れた美女お妙の相談役として茶屋を立て直すことと蔵に閉じ込められたものを解き放つことを命じられてあたふたがんばるおけいが可愛い。魅力的な登場人物が多かったがシリーズ化されたらおけいと婆と閑古鳥の物語になるのかな。2021/04/17
のびすけ
31
貧乏神の使いのカラスに導かれて「出直し神社」へとやってきたおけい。神社の婆が行うたね銭貸しが縁で、お妙が営むお蔵茶屋「くら姫」の再建の手助けをすることに。茶屋の庭造りやお菓子選びの試行錯誤の過程が楽しい。茶屋の古蔵に秘められた謎をめぐるミステリー要素もあり、なかなかの読み応えでした。2022/09/01