内容説明
梅香る頃、照月堂では、これまで注文を受けて作っていた煉り切りを店頭でも売り出した。これも、幕府の有力者が贔屓にしてくれるようになったおかげと、主・久兵衛や番頭の太助は感謝しきりである。忙しくなった厨房では、弟弟子を迎えたなつめが饅頭作りに挑んでいた。そんなある日、ちょうど留守にしていた隠居の市兵衛を「旦那さん」と呼ぶ女が訪ねてきた。どうもちょっとわけありらしい。店の面々は、市兵衛とその女の仲を疑って困惑するが…。照月堂と、菓子職人をめざす娘なつめの物語、シリーズ第八作。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第4回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短篇「虚空の花」で第12回九州さが大衆文学賞佳作受賞。主な著書『青山に在り』(第1回日本歴史時代作家協会賞作品賞)など。主なシリーズに「更紗屋おりん雛形帖」(2017年第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kagetrasama-aoi(葵・橘)
39
「江戸菓子舗照月堂」第八巻。好奇心旺盛で、次から次へと色々なものに“なりたい病”と言われていたなつめ。武家の出身にしては軽い女の子だなぁ…と思って読んでいましたが、ようやく先行きのことを考えられるまで成長したようです。回りの照月堂の人や了然尼が良い人達なので安心して読んでいられるんですが。そして、今巻登場したおそのさん、ちょっとびっくりな設定でした。色々な意味でシリーズの転機となった巻のように思います。あとはどんな“結”になるのか、楽しみに読みます。2021/08/24
はにこ
37
新しい弟弟子が出来たなつめ。京都では長門の厨房が出来て、安吉も本格的に菓子の修行。そんな日常の中で現れたおその。おそのって誰だっけ?他の物語だっけと思っていたらあの人だったかー。成長するなつめや安吉に色々な人が繋がって。転機と思われる一冊。なつめの決心は何なのか。次が気になる。2021/04/30
坂城 弥生
32
飴に関する話が多かった。 氷川屋が出てこなければこんなに優しい気分で読める話なんだなぁと、実感。2020/10/26
むつこ
28
登場人物が増えるということは名前が覚えられなくなってきたぞ、シリーズ8作目。今作は市兵衛と了然尼の気持ちにうるっときた。果林堂の厨房の呼び名に、こだわる人に対して周りは大変な苦労をするし面倒くさいものだ。西(京)のお菓子は知らないことが多く食べてみたいし行ってみたくなる。2021/01/09
えみちゃん
23
こちらも新刊を楽しみにしているシリーズです♪仕事では菓子職人として順調に成長しているなつめちゃん。仕事ぶりを認められひとりで「照月堂饅頭」を作れるようにただいま特訓中です。親友と菊蔵が祝言を挙げる・・っという哀しみを乗り越え修行に打ち込んでいます。久兵衛の菓子作りの評判も上々でいよいよ「照月堂」も商売を手広くしようとする矢先にご隠居さんを女性が訪ねて来るという珍事⁉笑っに皆が湧きたつといういつもとちょっと趣の変わる幕開けです。過去に起きた不幸な出来事にもなんとか区切りを付け、おそのさんを新メンバーとして2020/08/02