内容説明
夏の空が晴れ渡る七月十六日。日本橋伊勢町の大店、小間物商「丸藤」の総領娘・里久は、藪入りでも里帰りはしないという小僧の長吉につき合って、蔵前の閻魔堂へ参拝に来ていた。どことなく寂しげな長吉を誘い、里久は屋台の天ぷらを堪能するが!?一方、暦は進んで十月。里久の妹で、伊勢町小町と呼ばれる丸藤の看板娘・桃のもとに、縁談が舞い込む。姉より早い妹の縁談に、両親は戸惑い、想い人のいる桃の胸の内は揺れに揺れて―。日本橋の老舗小間物商をもり立てる姉妹の物語、大好評第二作。
著者等紹介
宮本紀子[ミヤモトノリコ]
京都府生まれ。市史編纂室勤務などを経て、2012年、「雨宿り」で第6回小説宝石新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
87
シリーズ第2弾。おてんばな姉の里久と美人の妹の桃がいいコンビネーションを醸し出し始めました。お店の小僧の長吉が藪入りの時里に帰らなかった理由を聞き、時季外れの休みを与え久しぶりに里帰りをしたくだりは泣ける。親が子を思う気持ちを里久と桃の両親を重ねて優しく描く宮本さんの文章は上手いなと思わせる。桃に縁談が舞い込み、心に秘める男性の面影を片隅に見も知らぬ相手とのお見合いをすることに。そして、嫁ぐ決心をした時思わぬ助太刀が・・・。女中の民の存在もいいが、両親の親心が笑えて泣ける。何度もジワリと涙が滲む物語。2020/08/30
とし
81
小間もの丸藤看板姉妹「妹の縁談」2巻。小間物商「丸藤」姉妹里久と桃、両親の藤兵衛・須万夫婦、丸藤で働く長吉、お民、手代頭の惣介もだんだんと変わってきますね、ほのぼのとさせられます。2021/09/24
ぶんこ
60
藪入りに帰ろうとしない長吉を元気付けようとする里久。そして妹の桃と民さん、藤兵衛と須万。奉公人と主人一家がお互いを思いやっているのが、なんともこころよい。手代の惣介の美意識で、良かれと思って商品を似合わないと言ってしまう気持ち。それを大事にしつつ顧客の思いもおもんばかる里久と桃。お店の窮地に姉妹で創り出すアイデア品と、姉は妹、妹は姉の手腕を認め、片方がうしなわれることを悲しむ。本当に良い環境で、あまりに良すぎると、確かに嫁に出て行きたくなくなるかもしれない。それにしても寛治郎さんはできたお人だ。2022/11/23
真理そら
59
『跡とり娘』で丸藤に帰ってきた里久は相変わらずおてんばというかがさつというか…。妹の小町娘・桃の縁談の相手は桃のことを分かってくれていそうで悪くないが、桃は耕之助への想いを断ち切れない。美人で性格も良い桃を中心とした展開なのはいいけど、この結末はどうなの?とも思う。2019/12/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
44
「小間もの丸藤看板姉妹」第二作目。里久と桃の姉妹の息が合ってきて、楽しい気持ちで読みました。両親の藤兵衛・須万夫婦も人情味溢れていて素敵な両親、特に手放していた里久に対する須万の母親としての気持ちが描写されている件が好きです。タイトルの“妹の縁談” 今も昔も姉妹の縁談は色々と難しいですよね!里久にお婿さん貰って跡継ぎにして、桃はお嫁入りするのかな?先が気になります。2021/05/10
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