内容説明
夏休み。鉄道好きで“スーパーおおぞら”に憧れる僕は、ある日出会った男性に小樽の鉄道博物館へ連れて行ってもらえることに。最高の夏になると信じていたのに、こんな大ごとになるなんて―。生活安全課の小島百合は、老舗店で万引きした男子小学生を補導した。署に連れて行くも少年に逃げられてしまう。一方、刑事課の佐伯宏一は園芸店窃盗犯を追っていた。盗まれたのは爆薬の材料にもなる化学肥料の袋。二つの事件は交錯し、思わぬ方向へ動き出す。北海道警察シリーズ第八弾。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、飛んだ」でオール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞。16年日本ミステリー文学大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
133
待ちに待っていた道警シリーズ第八弾。バラバラな犯罪が関係ないように見えていても次第につながりハラハラドキドキのサスペンスへと進展していく。札幌の街をよく知っていればもっと楽しめるだろうにといつも悔しい思いをしてしまう。最後のエンディングはお決まりのジャズバーでのほっとするひととき。これも道警シリーズを読んでしまう目的かな。2020/01/16
ふじさん
75
道警シリーズは好きで、第一作から読んでいる。警察小説はあまり好きではないが、佐々木譲の作品だけは好きだ。今回は、シリーズ8作目。鉄道好きの少年大樹とJRを解雇された梶本とが出会い、一緒に行動する中で、JR北海道に恨みを抱く梶本の爆弾事件に巻き込まれるが、最後は大樹の協力等で事件は未遂で終わる。少年の万引きや家族の背景を捉えたり、地道な窃盗事件の追跡等、個々のエピソードは面白いものの、どこへ向かうのか読み切れない内に事件の核心へ。物語の心地良い疾走感と緊張感に包まれ、一気に読んでしまった。 2020/12/06
タツ フカガワ
49
シリーズ8作目。万引き被害に遭った店からの通報で駆け付けた小島真理は、小学生の少年を捕まえるが、署内で逃げられてしまう。一方佐伯は盗難に遭った園芸店へ向かう。盗まれたのは化学肥料30㎏。だがそれは、爆弾の原料にもなるものだった。次第に犯人像と目的が判明していくあたりからサスペンス度が加速度的に増していく。終盤のハラハラ感はシリーズ屈指ではないかしらん。2021/05/05
nemuro
44
昨年の夏、<北海道警察>シリーズ第8弾の本書を購入。シリーズ中、自宅本棚にあったのはシリーズ第1弾の『笑う警官』のみ。どうせならシリーズを順番に読もうかと、残りの6冊も買い揃え、のんびりと読み進めてみた。『笑う警官』の読了が昨年10月15日なので、半年ほどでの読了。随分と長く楽しませてもらったことになる。改めて帯を見ると、「チームワークで結ばれた警官たちが、鉄道爆弾テロに立ち向かう!タイムリミットサスペンス」とあって、なるほど、さすが的確に要約されている。さて、ジッと続編を待つとしようか。2020/04/04
ゴルフ72
38
閉店間際の老舗での万引き、爆薬材料の窃盗事件、そして雷管窃盗、全ては苗穂跨線橋で出会う少年とある男に繋がる。小島百合、佐伯、新宮刑事たちのそれぞれの動きが次第につながっていく。久しぶりに佐々木作品を読んだ。ラストに向かう緊迫感が良い!2019/10/14