内容説明
築七十年の古民家“月光荘”で住みこみの管理人となって数ヶ月。家の声が聞こえる大学院生・遠野守人は、月光荘の声に包まれて、穏やかな日々を過ごしている。知り合いや馴染みの店もでき、川越の町にも慣れてきた。そんなある日、お気に入りの古書店「浮草」の店主が入院中だと知る。バイトの女子大生・安西は店主から、自分が逝ったあともここで働いてほしいと言われているといい…。川越の町で、人と人とが結びついていく。何かと何かが繋がっていく。やさしさと温かさが心に沁みる、シリーズ第二作。
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年、東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」で、第38回群像新人文学賞優秀作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
328
他作品とリンクされ、がっちり心を鷲づかみされました。(最近、他作品とリンクしてる作品が多いなあ)切なさがあるんだけど、心穏やかになってしまう。古き良き時代の人の情。古き良き街が作り出す人の輪。この物語の舞台で、自分の心に癒やしを求めているのかもしれないと思いますね。片言で喋る月光荘も可愛く感じ、この川越にあるいろいろな建物に触れて、守人の能力みたいのはないですが、何かを感じてみたいですね。いつか川越に行って、癒されたい。2019/07/16
しんたろー
245
前作で「プロローグみたい」という感想を書いたが、やはり2作目にして本筋に入ってきた感があった。川越を舞台にしたチョッとしたファンタジーと人情劇の短編3作はエンジン全開になって、ほしおさんらしい温かい世界観に満たされている。『浮草の灯』は『三日月堂』のスピンオフみたいな話でファンには嬉しい限り、『切り紙』で本作としての良さが確立され、『二軒家』は本作のファンタジー設定…家が話をする…と人情がマッチして泣ける話になった。御贔屓の「べんてんちゃん」が益々イイ味出しているし、シリーズが続くのが楽しみになってきた♬2019/08/27
寂しがり屋の狼さん
172
シリーズ2作目📚️活版印刷に浮草、「街の木の地図」や「雲日記」など懐かしいワードにニヤニヤしちゃいました(◕ᴗ◕✿)川越の町で、人と人とが結びついていく。何かと何かが繋がっていく。やさしさと温かさが染みる物語。2024/10/16
KAZOO
171
ほしおさんの本は活版印刷の本から愛読しているのですがいつもしんみりとさせてくれます。どうも表紙が私のようなじじいには違和感がありすぎるのですがその内容はまるっきり異なります。活版印刷三日月堂もそうでしたが、川越の街がよく描かれているような気がしました。三つの話が収められていて、古本屋や切紙の話が印象に残りました。基本的には人間のつながりなどをうまく入れ込んでいると感じます。2019/06/28
シナモン
164
川越を舞台にした月光荘シリーズの2作目。三日月堂シリーズに出てきた浮草の話。違うところではこんなストーリーがあったのかと感慨深い。弓子さんをすぐ近くに感じた。「ここで生きる、ぴったりな職業、ぴったりな居場所…ちゃんと生きていればそれがだんだん見えてくる」自分は今ちゃんと向き合ってるかと考えさせられた。守人にもぴったりな居場所が見つかるといいなぁ。穏やかな語り口、切ない物語の中にも光が感じられる展開にほっとする一冊でした。続きも読みます。2021/04/12