内容説明
森山健吾は、生きていれば二十歳になる息子の墓前に、長らくボランティアコーチを務めた少年サッカークラブを去ることを報告した。会長には引き留められる森山だが、勤務する会社は業績悪化が続き、人員削減のため早期退職者を募るという噂まで出てくる。仕事や家庭、そしてコーチという立場でも悩む森山は、ある日、グラウンドに姿を現した不思議な青年と交流を始める。森山は妻と共にその青年に亡き息子の面影を見出すのだが―。それぞれの人生に声援を贈る感涙の物語、待望の文庫化。
著者等紹介
はらだみずき[ハラダミズキ]
千葉県生まれ。商社、出版社を経て作家に。2006年『サッカーボーイズ 再会のグラウンド』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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再び読書
25
解説を読むとはらだ氏の最高傑作と記載されていたが、まさしくそう感じる作品だった。シリーズとしては「サッカーボーイズ」があるが、一つの作品としては重みとしてはこの作品が大きい。翔太との出会いに森山夫婦の心の氷山が溶け出し、子供を失った痛みが本当の意味で癒されていくところは心が大きく揺さぶられる。戸倉親子の変化、ムーンリバーズの子供たちの成長が嬉しく、卒業生の自分のためでもあるサポートも涙腺を緩ます。そして最後に翔太が夢を叶えた事、月見野SCの創始者丹羽と翔太との繋がりが、ムーンリバーズに繋がる感動の一冊!2021/02/20
manya
5
Jr.サッカークラブの物語。どこのクラブも同じ様な課題を抱えてるのだなぁ。そこに来て、自分の身の振り方を考える出来事も重なりと…。 自分も指導者を始めた頃は、単純にサッカーが好きで、子供達にもその楽しさを伝えたかっただけなんだけど、本書でもあるように、色んな事が…。大人の事情。指導者同士のコミュニケーション不足。保護者との関係。どれも子供達には関係ないことなんだけどなぁ…。毎週末が辛くなり、薄れていく情熱。主人公と同じ気持ちの自分がいる。自分は、主人公のようになれるだろうか?2019/02/08
ハナジロー
5
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️2018/07/08
あられ
3
大学生の末っ子の本棚から借用 わが子がサッカー少年団にお世話になったのはもう20年も前の話だが、コーチの側から描くとこうなるんだなあと面白く読んだ 2021/06/09
西澤 隆
3
ウチも今年U12を終えてU15へと進む。そして時々近所の強豪チームのトップではない子たちはどこに「!」を見つけているのかなあと他人事ながらも思う。上のカテゴリに進むにつれ強いこと、勝つことの優先度は上がっていくけれど、下の年代ではチーム全体の強さよりも大切なものは間違いなくあるわけで、子どもたちがサッカーを楽しむ場所を維持していく地域の大人たちへの感謝とともに、主人公のような気持ちU12の指導者が持っていてくれると素敵だなと思う。登場人物に我がチーム関係者と重なる名前がいくつも登場し重ねて読み進めました。2020/12/24